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言いたいこと ページ6

天馬side

ここまで意志を固めてる辺り、やっぱりこいつはどこまでもお人好しらしい。

「......ありえねぇ」

ため息を吐きながら、俺は心底呆れてその場に項垂れる。
いくら劇団の助監督とは言え、普通ここまで団員を優先出来るもんじゃないだろ......。

どんだけ自分に関心がないんだこいつは。

「勝手に決めてごめんな」

「もういいから、謝るな」

申し訳なさそうに言われ、俺は顔を下げたままに注意する。

これ以上謝られたって気分が悪いだけだからな。

「お前のごめんは聞き飽きた」

そのまま続けて言い足せば、隣からは「確かに」なんて声が返ってきて。

「お前には謝る事ばっかだからな」

「......」

空を見上げながらに話すAに、俺は何も言えず黙り込む。

こっちも謝る事がない訳じゃないが、それでも今俺の話をするのは違う気がした。

「.....あのさ」

それから少しの間足元を見つめていると、隣から、ぽつりと呟くようにして声をかけられる。

顔を上げれば、両手を後ろにつけて上体を傾けたAが、目線を上に星を眺めていて。

「もし俺に言いたい事とかあったら、今ちゃんと聞くから言って欲しい」

「え.....」

その突然の提案に、思わず声にならない声が出た。

訳が分からなくて何度か瞬きをすると、Aは静かな笑みを浮かべたまま、顔だけをこっちへと向ける。

「天馬にはここに来てからずっと気を使わせてばっかだろ?今のこの件だってあんま納得してないだろうし」

「.....それは、そうだけど」

そして否定せずに答えれば、向こうは自分自身に向け指を指し始めて。

「だからまぁ、なんか文句とか。これまで言えなかった事とかさ。聞いとこうかなって」

お前変なとこで俺に気使うから。

笑いながらも的確な事を言われ、図星だった俺は言い返す事も出来ずただ渋い顔になる。

どうやら見抜かれていたらしい。

「というか、元はと言えば全部お前が──」

「そ、そういうやつ」

「っ、」

指していた指を今度は俺まで向けられて、言う筈だった言葉は完全に遮られる羽目になった。

「安心しろ。いつも流してる分、今日はちゃんと胸に刻むつもりだ」

「なっ!流してたのかよ!」

「だってお前の小言長いし」

ケラケラと意地悪く笑いつつ、いつでもいいぞなんて話すAに、俺は呆れながらも何を言うか考える。

せっかくの機会だし、ここは従うべきだろう。

「......大体お前は──」

いざ口を開けば、言いたい事が次から次へと浮かんできた。

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作品ジャンル:アニメ
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ちるちる(プロフ) - めっちゃ面白かったです!!続きが楽しみです😊更新頑張ってください‼️ (2023年3月8日 21時) (レス) @page6 id: ace1fac0f2 (このIDを非表示/違反報告)
Litchi - いつも楽しみにしています!!何度も読み返しています!綴り続けてくれてありがとう。 (2023年1月4日 14時) (レス) id: 68b643f61f (このIDを非表示/違反報告)
まな - もう10回以上読み返しています。めちゃくちゃ面白いです。更新ずっと待っています! (2021年1月25日 10時) (レス) id: 273a45e7c6 (このIDを非表示/違反報告)
水無月(プロフ) - もう何回も何回も読み返しています!ずっと待ってますので!! (2021年1月12日 17時) (レス) id: e283fb9d1f (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - ずっと待ってます! (2020年12月30日 3時) (レス) id: de93f0d8c4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年6月8日 15時

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