意外な出だし ページ25
「あいつどこに……」
呟きながら、天馬の走っていった方向を見つめる。
近くにいた俺にすら気付かないんだから、余程深刻な何かがあったに違いない。
俺は懸命に頭を働かせ、夏組の合宿(本編)で起こる出来事を思い返す。
そして一つの答えに辿り着くと、すぐ様携帯を開いた。
(……そうか、今日って)
合宿一日目の夜だ───。
この日と言えば、確か天馬が一成の核心をつくような発言をした筈。
あれは夏組にとって大事な話だったし、当時俺も読んだ時うわって思ったからよく覚えてる。
そして何より、俺はそんなピンポイントなタイミングでここに来たという訳で。
(運がいいんだか悪いんだか)
神のいたずらとしか思えないような状況に、ただただ乾いた笑いをこぼす。
心も体も疲れてるけど仕方ない。
見過ごすなんて出来ないし、とりあえず天馬を追いかけよう。
そう思って玄関から天馬の走った方へ進路を変えようとした時。
「! Aくん!?」
ガチャリという扉の音と共に、監督さんが現れた。
天馬を追いかけようとしてたらしい。
それが急に俺と入れ替わったもんだから、驚いて目を見開いている。
「あ、監督さん。ただいま戻りました」
「おかえりなさい、びっくりしたよ……。 あ、天馬くん見なかった!?」
俺に返事をして、キョロキョロと辺りを見回す監督さん。
当然だが、俺よりも明らかに天馬を気にかけるその様子に内心ため息が出る。
せっかくの監督さんからのおかえりなさいだってのになぁ……俺の癒しの時間を奪った罪は重いぞ。
因みに成瀬にはああ言ったけど、別にそういう感情にはならないってだけで普通に監督さんは俺の癒しだからね?咲也も綴も椋もみんな俺の癒し。
「天馬ならあっちに走っていきましたけど……何かあったんですか?」
知ってはいるが一応尋ねる。
春組の時も散々あったし、知らないフリはお手の物だ。罪悪感はあるけどな。
「それがちょっと揉めちゃって……」
私がついていながら……。
眉を下げながら、手短に説明してくれる監督さん。
まぁあの五人を一人で纏めろって方が普通無理だよな。
苦労してる彼女に同情しつつ、俺は監督さんに提案をする。
「あいつの事、俺に任せてもらってもいいですか?」
「え?」
「元はと言えば俺にも非がありますし、何より───」
ああいう奴の事、俺はよく分かるんで。
天馬の走った方を見ながら笑うと、監督さんは少しの間悩みそれから、
「お願いします」
そう言ってくれた。
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ノルン(プロフ) - 更新お疲れ様です!待ってました!!今回も物凄く面白いです!(語彙力)三角の行動に心臓がキュッて締め付けられました 次の更新も楽しみにしてます! (2019年1月26日 17時) (レス) id: 265a916812 (このIDを非表示/違反報告)
祐(プロフ) - 杏仁豆腐さん» コメントありがとうございます。お返事が遅くなってしまい申し訳ありません。不在中に二度も待機コメントして下さって感謝以外の言葉も出ません・゚・(つД`)・゚ 本当にありがとうございます!! (2019年1月25日 20時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
ノルン(プロフ) - うわぁぁぁ!!続きがメッチャクチャ気になりますぅぅぅ!! 次の更新待ってます!! (2019年1月25日 11時) (レス) id: 265a916812 (このIDを非表示/違反報告)
祐(プロフ) - ラッキーさん» 今更ながらですみません。コメントありがとうございます!たまに自分の稚拙な文章力に落ち込んでたりするので、そう言って頂けるのはすごく嬉しくてやる気になります.....!また再開して行くつもりですので、今後もよろしくお願いします(´▽`) (2019年1月24日 16時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
祐(プロフ) - 支杞さん» コメントありがとうございます!大っっ変長らくお待たせしておりました。今更ではありますが何とか完結目指して頑張りますので暇つぶし程度に読んでいって下さいませ(´▽`) (2019年1月23日 19時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:祐 | 作成日時:2018年8月14日 14時