リーダーの始まり(いづみ) ページ18
その後も、天馬は自身の知る事を全てを咲也に話した。
速水がGOD座に勧誘されている事、MANKAIカンパニーの一員である事を伏せた事。
そして、本当は舞台に立ちたがっている事。
「あいつはそう簡単な問題じゃないって言っていた。多分だが、これまでに何度も克服しようとしてるんだろう」
「でも、出来なかった」
「そういう事だろうな」
答えを察した咲也に、天馬もこくりと頷く。
「これが俺の話せる全てだ」
そう伝えれば、咲也はそっかと呟いた後、天馬に礼を言う。
だが、その表情はあまりにも暗く沈んでいて。
「……悪かったな、今のお前にこんな話聞かせて」
気づけばそんな謝罪をしていた。
頼んだのは向こうで、また自信家な自分には到底らしくない事など分かっているが、それでも。
「お前には話しておくべきだと思った」
「! 天馬くん……」
あれだけ速水の事で悩めるのなら信用出来る。
そう思える程、咲也の気持ちが本物だと分かったのだ。
そんな彼に、咲也は力なく笑うと視線を落とす。
「確かに驚いたし、話してくれないのは少し悲しいけど……」
でも。
言いながら、顔を上げて天馬を見据えた。
「天馬くんのおかげで、これからはもっとAさんの事ちゃんと見ていこうって。Aさんだけじゃない。この劇団の皆とも、助け合えるような、そんな家族みたいな関係になりたいって思えた」
だからありがとう。
その表情は、出会った時から今までの、普段の咲也で。
「……ふん、好きにしろ」
心配して損したと心の中で皮肉を零す。
だが、これでお互い出せるだけの情報を出し合ったという事だ。
そしてそれはこれからも同じ、二人のみが共有出来る秘密。
「俺はあいつに、必ず舞台に立たせてみせるって言った」
あの時は口だけだったが、全てを知った今では言葉の重みが違う。
「理由はなんであれ、目的は同じだ。いつかあいつと同じ舞台に立つ為にも俺に協力しろ」
堂々と言い放った天馬に、ぽかんとした様子で目の前の天才役者を見つめる咲也。
謝ったとはいえ、根は意地っ張りで気が強いのが天馬だ。
こんな時まで上からになってしまうのは悪い癖だが、それが皇天馬という人間である以上仕方がない。
そんな彼に、咲也はくすりと笑った。
(……話してよかった)
心の中でもう一度礼を言い、今日一番の笑顔を見せる。
「うん!これからよろしくね、天馬くん!」
そしてこの日を最初に、リーダー会議と言う名の意見交換会が始まったのだった。
1753人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「愛され」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ノルン(プロフ) - 更新お疲れ様です!待ってました!!今回も物凄く面白いです!(語彙力)三角の行動に心臓がキュッて締め付けられました 次の更新も楽しみにしてます! (2019年1月26日 17時) (レス) id: 265a916812 (このIDを非表示/違反報告)
祐(プロフ) - 杏仁豆腐さん» コメントありがとうございます。お返事が遅くなってしまい申し訳ありません。不在中に二度も待機コメントして下さって感謝以外の言葉も出ません・゚・(つД`)・゚ 本当にありがとうございます!! (2019年1月25日 20時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
ノルン(プロフ) - うわぁぁぁ!!続きがメッチャクチャ気になりますぅぅぅ!! 次の更新待ってます!! (2019年1月25日 11時) (レス) id: 265a916812 (このIDを非表示/違反報告)
祐(プロフ) - ラッキーさん» 今更ながらですみません。コメントありがとうございます!たまに自分の稚拙な文章力に落ち込んでたりするので、そう言って頂けるのはすごく嬉しくてやる気になります.....!また再開して行くつもりですので、今後もよろしくお願いします(´▽`) (2019年1月24日 16時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
祐(プロフ) - 支杞さん» コメントありがとうございます!大っっ変長らくお待たせしておりました。今更ではありますが何とか完結目指して頑張りますので暇つぶし程度に読んでいって下さいませ(´▽`) (2019年1月23日 19時) (レス) id: 71340f3351 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:祐 | 作成日時:2018年8月14日 14時