君の隣にいたいです【あほの坂田】

３１の隣 ページ34

｢ほんまに昔よりずっとキレイになってて、水城さんに気づかんかった。

水城さんと知らんと、好きに、なってた。

だから

水城さんやって、知った時嬉しかった｣


『なに、それ』


｢…僕も好きです。付き合ってくれませんか｣

『っ…！』


何それ、こんなの、聞いてない。

だって、君は

君は期待させるだけで、実際何も…


｢水城さん、泣かんとってや｣

私を後ろに向かせて、私の正面に立った君が、頬に触れて言う。

『だっ、て…本当に…？』


｢…うん｣

見上げると

頬をほんのり赤く染めて、照れくさそうに笑う君がいた。

もうわけが分からない。


(坂田くんが、私を好き…？)


｢ねぇ。答えは？｣

坂田くんは、優しく微笑んで言う。


『っ…わた、しも好き…だよ』

｢それは知ってるよ。付き合ってくれんの？｣

『わ、私でよければ…わっ』

｢ほんまに！？やった！｣

言い切る前に無邪気に笑って、私をぎゅっと抱きしめる。


『さ、坂田く』

｢ありがとう。

…言うとくけど、水城さんじゃなきゃ、嫌やから｣

『っ…』


(もう、ほんと君は)


『ずるいよ…』

｢？｣


首を傾げる君は、絶対そのあざとさに気づいてない。


けど、そんな君が愛おしい。

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