君の隣にいたいです【あほの坂田】

１２の隣 ページ15

う｢それでさ｣

し｢あ、うらたさん！｣

う｢え？｣

セ｢え、泣い…？｣

し｢もしかして…｣

なんて声が聞こえる。


去らないと、そう思うのにどうしても動けなくて

(うご、かなきゃ…)

坂田くんに迷惑がかかる前に、自分が傷つく前に。


すっと目の前に影が指す。

『？』

さ｢あの、大丈夫ですか？｣


顔を上げて見えたのは、大好きな君の顔。

心配そうに私を見つめてる。

『っ…』

何も変わってなんかない優しい君の瞳。

ずっと見つめていたくなる。


う｢ちょ、坂田！｣

さ｢でも、放っとけらんやん。関係なかったらどうするん｣

う｢そうだけど…｣

とこそこそと話してる。


申し訳なくて、怖くて、今すぐ去ろうと口を開いた。

『…さ、かたくん、だよね…？』

さ｢…え？｣

思っていた言葉とは全然違う言葉が口をついて出た。


しまった、そう思った時にはもう遅くて、

し｢…やっぱリスナー？｣

怪訝な顔をした志麻さん。


違う、そう言おうにも

確かに今の私はそれと同じ部分を含んでて、否定できなかった。

向けられる目に耐えられなくて、目をそらす。


『…』

(なんで、知っちゃったんだろ…知らなかったら否定できたのに)

君に嘘をつきたくない、そんな想いがあって、否定するのを邪魔される。


けど、ただのリスナーだと思われるのも嫌で、

『…あ、の…覚えて、ない、ですか…』

と言ってしまう。


そんなの答えは分かりきっていて、傷つくのなんて目に見えてるのに。

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