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志麻・投稿作品 IF story ページ3

こちらは投稿作品
シスコンな兄とツンデレな妹とその仲間達【浦島坂田船】
のIFストーリーとなっております
本編とは関係ありません。

A…センラの妹 志麻のことを兄のように慕っている
───────────────

志麻side
それは、日常と化した会話の中で、突然の出来事だった。

その日は体調が悪かったか、機嫌が悪かったか。いや、どちらでもなかったはずだ。
ただ、少し、疲れていただけ。

『志麻に──』

洗面所で手を洗っている最中、呼ばれた名前。それに反応する前に、歯切れ悪く呼び声が止まった。なんだと振り返れば、そこには傷ついたような表情をしてるA。

「え?A、」
『…志麻に…う"うん。志麻、さん…いや、志麻くん、かな』
「へ?」

急に呼ばれる名前のレパートリーにはてなを浮かべる。どうして急に、そんなことを気にし始めたのだろうか。

『ずっと志麻兄って呼ばれるの、嫌やったん?』

ドキリ、と大きく鳴った心臓は、それを境にバクバクと早鐘を打つ。
どうして。一体どこで。それに気づいたのか。

『…やっぱり、そうなんや。傷ついている顔してるもんな』

Aの言葉に思い当たって振り返る。そこには、酷く顔色の悪い俺自身が映っていた。その表情は、俺が出そうとする言葉よりずっと現実を物語っていた。

『志麻くん、私のこと、そういう意味で好きなん…?』
「え」

斜め上の答えに、驚きで固まってしまう。一体どうして、そんな考えに至ったのか。いや、正当な考え方なのだろうか。

『気づかんくて、傷つけて、ごめん』
「い、や、俺は」
『顔に出てるんよ!誤魔化さんでや、奥手バカ!』

奥手。本当にそうだ。けれど、誰だって思うだろ?今の関係を壊したくないって。俺は、前に進むより、ただ傍で君の幸せを願うことが、君のことを見続けることだけが、望みなんだから。

にも関わらず、当の本人には怒られてしまった。

(誤魔化すな、か)

酷い言い草だ。自分は今まで気づかなかったのに、なんて。美月を責めるつもりはない。むしろ、今まで気づかなくてありがとうとさえ思う。俺の努力は無駄じゃなかったってことだから。

「…A」
『…』
「…俺は、何も言わんよ」
『…はっ?』

俺の言葉を待つAにそう告げて、信じられないという顔が返ってくる。

「ごめんな。お前に、振ることも、受け入れることも、させない俺を、ゆるして」
『なん、で』

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作者名:沖瀬アオ | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2022年9月11日 19時

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