【短編集】君への愛を共に Part2【浦島坂田船】 (ページ16)

今日:9 hit、昨日:3 hit、合計:10,717 hit

あほの坂田。｢吸血衝動 after story｣ページ16

【短編集】君への愛を共に【浦島坂田船】
15ページ｢吸血衝動｣の続き
ヤンデレにしてもよかったと思いました(今回は違います)
───────────────

『ねぇ志麻、どう思う？坂田と仲良いでしょ』

ある日の昼下がり。志麻を捕まえてこの間の話をしていた。

｢せやなぁ…坂田は、心も血も身体も、ぜーんぶ欲しいんちゃう？｣
『…聞いてた？私は捧げてるって言ったの』
｢うん。捧げとるな。それは知っとる。坂田もたぶん…分かっとる｣
『じゃあ！』
｢でもまだあるんよ。坂田が欲しいのは｣
『なにそれ』

その言葉に志麻は困ったように眉を下げる。教えて、と催促をすれば考え込むように顎に手をかける。

｢…俺が言ってええんかな。坂田から聞かんで｣
『良い』
｢そりゃAはいいやろうけど、｣
『良いから！言ってよ』
｢えぇ…俺が言ったって坂田に言わんとってや〜？｣
『分かった。てか坂田は鈍いんだし大丈夫でしょ』
｢主人に辛辣やな｣
『それで？』

志麻は言いにくそうに何度か口を開いては閉じ、ようやく言葉を吐き出した。

｢…坂田が欲しがってるんは、特に"心"やねんけど…その、な｣
『心？』
｢愛が、欲しいんよ。坂田は。Aからの、たった一つの愛が｣
『含まれてるでしょ』
｢違うんやってー！このニブチンが！｣
『えぇ！？なんで！』
｢もう〜〜恋とか愛とかそっちのこと！坂田はAに恋してんの！ドロッドロな愛情を持ってるわけ！それをAからも欲しいんよ！｣
『…へ？』

一瞬、何を言われているか分からなかった。

坂田が、私を、好き…？

｢わかった！？｣
『…わ、かった』

坂田が私を好きだというのは納得できないけれど、そうだと思えば、あの時の坂田の言葉の意味は理解出来た。むしろしっくり来たのだ。主従以上のものが欲しいなら当然だ。それ以上のものを、私は坂田に与えていないのだから。