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「坂田?」
「…」
「ぼけっとしてたら置いてくで〜」
10年以上経った今も、ヤツの隣に立つ度に思い出す。ここは、君が立っていた場所だ。君が、最後に選んだ場所。
「…僕がお前を置いてくねん。舐めてんなよ!」
「はぁ!?待っといてやったのになんやねんそれ!」
「べー、っだ!」
「待てコラ坂田ァ!!!」
センラを煽って、追いかけっこが始まる。うらさんとまーしぃの、笑い声と呆れた声が聞こえて、ふっと笑いをこぼす。
こいつの隣が心地良いこと、僕だって知っている。こいつが奪ったあの子の隣、今度は僕が、あの子からこいつの隣を奪うんだ。
…なーんて。別にこいつの隣なんていらんねんけど。
でも、これでいい。もう君への恋心は過去に置いてきた。少しずつ、落としてきた。もう、こいつを見ても君に焦がれることは無い。
ただ僕は、思い出すだけ。
僕は君といる時間が何よりも大切"だった"ってことを。
そして、
今の僕の、何よりも大切なのは、こいつらといる時間だってことを。
「おら捕まえたぞ…!!」
「ぎゃー!!センラに殺される!!」
「何人聞きの悪いこと言うてんねん!!」
「いいぞセンラ、もっとやれ!」
「まーしぃ味方してくれへんの!?」
「はいはい、お前らそこまでなー?」
志麻・投稿作品 IF story→←あほの坂田。「大切なもの」
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