零時の鐘が鳴る頃に

59 ページ13

｢まぁ、今までいなかったってだけで、可能性がないわけでもないと思うんですけどね｣

｢え〜。センラ逃がしちゃうん？｣

｢そうやなくて、あくまで可能性の話。僕らと人間は根本的な生き方が違いますから、必死に考えたら有り得るかもしれませんよ？｣

その会話を聴きながら、黙々とご飯を食べる。


(私と怪物の違い、か…全くもってその超常的な力に勝てるとは思えない)



───諦めたらあかん。俺は絶対勝つ。やから、



再び声が聞こえた気がして、ばっと2人の方を見る。

｢？どうしたん？｣

｢何か聞きたいことでもあります？｣

突然首を動かした私に驚きつつ、不思議な顔をして2人が言った。

『い、え…何でもないです』

(気のせい…？いや、確かに聞こえた。けど、2人の声じゃない…)

どこか聞き覚えがあるような、記憶を揺さぶる言葉に、頭がぐちゃぐちゃになる。

(あなたは誰、これもあれも誰の言葉？誰かが言ってるの？それとも、記憶？今の言葉の先は…？)


分からないことだらけで、意味がわからなくて、整理も追いつかなくて。昨日からずっと頭がぐちゃぐちゃだ。

60｢外回り｣→←58

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す