荒野に咲き誇る紅い華 Ⅶ (ページ4)

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☆ ページ4

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ある日、事務所にふらりと姿を見せたAを捕まえて昼飯に誘った。

Aはタッキーとふたりでご飯なんて久しぶりだね、嬉しい。と笑った。

滝沢「A、美味いか？」

『うん、美味しい～。タッキーも食べる？』

滝沢「俺自分の食ってるし(笑)」

『だってさっきからジロジロ見てくるから…食べたいのかなあって思って。』

滝沢「そうじゃないよ(笑)」

彼女はジャニーさんが大切に育てたこの事務所唯一の娘だ。
好意を寄せられることはあっても、傷つけられることはあってはいけない。

いつかAには、好きな人と幸せになってほしいと俺も願ってる。

滝沢「A？」

『…なに？』

滝沢「ずっとこの話をいつしようか迷っていたんだけど。」

『何のこと？』

滝沢「ジャニーさんがさ、最後に俺に言い残したことがあって…」

今日こそ言おう。
ちゃんと最後の言葉を伝えないと。

そう決心し、それを告げるとAは小さく口を開いて「え、、？」と戸惑ったように言葉を漏らした。

滝沢「ジャニーさん、Aのことを心配してたんだ。自分がいなくなったらひとりきりだと思ってしまうんじゃないかって。」

『…うん、思ってた。でもそれを優太くんやメンバーが支えてくれたからわたしは今もここに居るんだよ。』

滝沢「そうだね。Aは強くなったよ。…でもね、Aには幸せになってほしいんだよ。」

『わたし、もう十分すぎるくらい幸せだよ？大好きな優太くんがいて、大好きなタッキーや先輩がいて、SixTONESとしてデビュー出来て、みんなと一緒にいられて。凄く凄く幸せ。』

滝沢「…Aなら、そういうと思ってたよ。だからこのことはずっと黙ってたんだ。」

『これ以上の幸せを望んだら、きっとバチが当たるよ。』

滝沢「…A、、」

『恋愛なんて、考えられないよ。今はそんな時期じゃない、お仕事が楽しいの。』

滝沢「ごめん、余計なことだったな。」

『…みんなおかしいよ。デビューしたからなの？それとも…20歳になったから？こんなことになるくらいなら、成人なんてしたくなかったよ…。』

寂しそうに笑ってご馳走様でした、と部屋を出ていくAを俺はただ黙って見送ることしかできなかった。

"みんなおかしい"

後々その言葉の真意に気が付いた時には、Aはもうパンク寸前になっていた。

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