荒野に咲き誇る紅い華 Ⅶ (ページ22)

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☆ ページ22

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後から聞いた話、超がつくほどの人見知りだったAは、俺のために勇気を振り絞って何度も声をかけてくれていたらしい。

早く5人と打ち解けられるように、俺のことをよく知れるようにとひとり奮闘していたことを知ったときには、もうそんな優しいAのことが愛おしくてたまらなくなった。

Aの本当の姿に気づき、俺がこれまでの考えを悔い改めていた頃、先輩たちに声を掛けられたことがあった。

「顕嵐、お前も大変だな～(笑)」

顕嵐「え、、何がですか？」

「女のいるグループなんかに入れられてさ、」

顕嵐「…」

「で、実際どうなわけ？メンバー内でヤったりしてんの？(笑)」

顕嵐「っそんなわけ、」

「おい熱くなんなよ(笑)冗談じゃん(笑)まあアイツジャニーさんのオキニだからさ、前出られて良かったじゃん(笑)」

その言葉に身体が怒りで震えるのを感じた。
何も知らないくせに、知ろうともしないくせに。

なんでAのことを悪く言うんだ。

顕嵐「…Aが前に立ってるのは、努力してるからです。」

顕嵐「これ以上アイツを侮辱するの、やめてもらって良いですか？」

その思いが爆発して、そのとき俺は咄嗟に言い返してしまった。

自分の過去のことなんて棚に上げて、Aをそんな風に言うのは許せないって思った。

「チッ、、んだよ」

先輩は俺を睨んで舌打ちをしながら何処かへ行ってしまって、急に怖くなった俺は足の力が抜けて座り込んだ。

そんなとき、

『あらんくん、』

顕嵐「…A、居たの？」

『ふふ、うん。』

顕嵐「今の、聞いてた？」

『うん。』

顕嵐「、、だよな。…気にすんなよ、あんな奴に言うこと」

『え？』

顕嵐「Aが誰よりも努力してて、誰よりもアイドルに誇り持ってることは俺らが一番知ってんだしさ。それで良いじゃん。」

『ふふ(笑)そうだね。ありがとう』

まっさらで、真っ白で汚れを知らないAを守りたいと思ったのはこの時が最初だった気がする。

Aは笑顔で、『こんな風にわたしを庇ってくれたのは、あらんくんが2人目だよ。』と嬉しそうに教えてくれた。

俺のこの気持ちは恋ではなく、庇護欲のようなものだと思っている。

ただ守りたい、幸せになってほしい、笑顔で居て欲しい。

Aと離れた今も、この気持ちはずっと変わることなく俺の中にある。

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