俺と彼女の確執 ページ44
深澤サイド
直視することが出来なくて俯いたまま座っていると、にやにやと笑った先輩が持っていたペットボトルを俺に差し出した。
「深澤〜、お前もそう思ってんだろ?」
深澤「…え?」
「ほら、やれよ(笑)」
ちらり、彼女の姿を見ると、俺が目を逸らしている間に既に彼女の服はびしょ濡れになっていた。
俺に差し出されてる水のペットボトル。
…これを、こいつにかけろってこと?
「なあ?深澤、お前もこいつのこと邪魔だと思ってんだろ?」
悪魔の囁きが聞こえる。
ダメだ。俺がこんなことしたら…今まで築いてきたこの子との関係が全部崩れてしまう。
だけど、、先輩に逆らうなんて。
俺にそんな勇気は無い。
どうしよう…どうしたら、、
「おい、早くやれよ」
深澤「っ、、」
俺は気が付いたら震える手でペットボトルを奪い取り、中身を彼女にぶち撒けていた。
『……』
深澤「ぁ、、、」
カラン、と音がしてペットボトルが手から離れて床に落ちた。
「ははっ(笑)最高だわ(笑)行こうぜ」
歩いていく先輩を追いかける気力もなくて、目の前に座り込むらぶに視線を移すと、
深澤「っ、!」
ゆっくりと顔を上げた彼女と、視線が交わる。
いつもの人懐っこい笑顔なんてどこにもなくて、ただ真っ暗に染まった瞳がじっと俺を見つめていた。
…壊した。
壊してしまった。
これまで時間をかけて得てきた彼女からの信頼も、過ごしてきた時間も、何もかも全て。
深澤「っ、、」
すぐ謝れば良かったのに。
断れなくてごめん、って言えば良かったのに。
そうしたら優しい彼女ならきっと笑って「しょうがないですよ」って言ってくれたはずなのに。
そんな簡単なことすら頭に思い浮かばなかった俺は、その場から逃げ出した。
彼女を裏切った。
岩本「あれ、ふっか?」
深澤「……っ、、」
岩本「何かあった?」
深澤「、、、」
岩本「おい、どうしたんだよ!」
深澤「俺…最低だっ、、」
岩本「ふっか?」
深澤「嫌われた…」
岩本「え?」
深澤「りんちゃんに、、嫌われた…」
俺に泣く資格なんて無いのに、涙が止まらなかった。
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らる(プロフ) - 茲気» コメントありがとうございます。心情描写などは特に力を入れてなるべくリアルを追求しているのでそのお言葉本当に嬉しいです。これから先も色んなことが起こる予定ですが、ドキドキしながら楽しんでいただける作品になるよう更新頑張ります! (2021年4月18日 12時) (レス) id: b46fc1d595 (このIDを非表示/違反報告)
淼(プロフ) - 本当に当時彼女がいたかのように思えるぐらい細かい描写が多く、数年前を勝手に思い出しています。これから先明るい方に進むのか加入組とはどうなるのかなども楽しみにしています!大変なご時世ですので、体調に気をつけながらこれからも素敵な作品を作ってください。 (2021年4月18日 1時) (レス) id: a1ca234ad0 (このIDを非表示/違反報告)
らる(プロフ) - 葵音さん» 初めまして、コメントありがとうございます。このお話は細かい設定まで考えて書いているのでそう言っていただけて本当に嬉しいです!これからも感動して頂けるお話が作れるよう頑張ります! (2021年4月7日 12時) (レス) id: b46fc1d595 (このIDを非表示/違反報告)
葵音(プロフ) - はじめてコメント失礼します。私らるさんの作品読むと必ず泣いてしまって、一つ一つがとっても繊細に作られていて大好きです。この作品も他の作品も更新楽しみに待ってます!無理のなように頑張ってください!応援してます (2021年4月4日 23時) (レス) id: c470cd415d (このIDを非表示/違反報告)
らる(プロフ) - よーこさん» え〜!このお話きっかけなんて本当に光栄です。ありがとうございます!今後も楽しんでいただけるよう更新頑張りますね。 (2021年4月4日 16時) (レス) id: b46fc1d595 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らる | 作成日時:2021年3月13日 8時