空を飛びたい ページ39
京本サイド
京本「…あ。」
サマパラのSnowMan公演が終わって数日後、事務所にいた俺はふらふらと歩いているAちゃんを見かけた。
ちらりと見えた目が…あの時と同じに見えて。
歌うことが嫌いだと、そうハッキリ言った時の…真っ黒に塗りつぶされたような瞳をしていて。
思わず俺は、彼女が消えた方向へ足を進めた。
あの日以来、俺と彼女が2人で話すことは無かった。
きっとあの子のことだからあの数分で俺のAちゃんへの微妙な感情に気がついたんだろう。
だから俺には必要以上に近寄らないようになった。
それでもAちゃんはいつも誰かがそばにいて、1人でいるところなんて見たことないくらいだったのに…俺の目にはいつも彼女はひとりに見えた。
いつも孤独を纏った、不思議な人だった。
京本「…どこ行った?」
階段で見失ってしまい、まあいっか…なんて思っていた時、さっくんと数日前にした会話を思い出した。
そうだ、今日…。
SnowManでとある話し合いがある日。
詳しくは聞かなかったけど、大事な話なんだとさっくんは言ってた。
でも、さっき見た彼女はひとり…。
もしかして、何かあった?
美勇人のメッセージが頭によぎる。
ダメだ。追いかけないと。
ワンフロアずつ階段をのぼり、彼女がいないか確認していく。
いない、
ここにもいない、
どこに行った…?
京本「…あとは、ここしか…」
俺の目の前には、屋上への扉。
今日は酷い雨。こんなところにいるわけがない。
…でも、もしかしたら。
どこにも居なかったんだ。あとは、ここしかない。
そんな気持ちで重い扉に体重をかけると、綺麗で…それでいて細い声が聞こえてきた。
『愛の…意味も…歌う、、光さえ、、』
『閉じ込められた…』
傘なんて持ってない俺は、身一つで外に出た。
叩きつける雨が痛い。
ぬるい水が肌にまとわりついて気持ち悪い。
視界の悪い中目を凝らすと…
京本「っ、!いた…」
屋上のフェンスの向こう側、足場も悪そうな隅の場所に腰を下ろす、小さい小さい背中が見えた。
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らる(プロフ) - 茲気» コメントありがとうございます。心情描写などは特に力を入れてなるべくリアルを追求しているのでそのお言葉本当に嬉しいです。これから先も色んなことが起こる予定ですが、ドキドキしながら楽しんでいただける作品になるよう更新頑張ります! (2021年4月18日 12時) (レス) id: b46fc1d595 (このIDを非表示/違反報告)
淼(プロフ) - 本当に当時彼女がいたかのように思えるぐらい細かい描写が多く、数年前を勝手に思い出しています。これから先明るい方に進むのか加入組とはどうなるのかなども楽しみにしています!大変なご時世ですので、体調に気をつけながらこれからも素敵な作品を作ってください。 (2021年4月18日 1時) (レス) id: a1ca234ad0 (このIDを非表示/違反報告)
らる(プロフ) - 葵音さん» 初めまして、コメントありがとうございます。このお話は細かい設定まで考えて書いているのでそう言っていただけて本当に嬉しいです!これからも感動して頂けるお話が作れるよう頑張ります! (2021年4月7日 12時) (レス) id: b46fc1d595 (このIDを非表示/違反報告)
葵音(プロフ) - はじめてコメント失礼します。私らるさんの作品読むと必ず泣いてしまって、一つ一つがとっても繊細に作られていて大好きです。この作品も他の作品も更新楽しみに待ってます!無理のなように頑張ってください!応援してます (2021年4月4日 23時) (レス) id: c470cd415d (このIDを非表示/違反報告)
らる(プロフ) - よーこさん» え〜!このお話きっかけなんて本当に光栄です。ありがとうございます!今後も楽しんでいただけるよう更新頑張りますね。 (2021年4月4日 16時) (レス) id: b46fc1d595 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らる | 作成日時:2021年3月13日 8時