傷だらけの想い ページ28
萩谷サイド
萩谷「A!おかえ、、、え?」
『……』
萩谷「A?どうしたの?」
『……』
予定よりも遅く家に帰ってきたAは玄関に入るなり蹲って、俺は慌てて走り寄った。
なんで?今日サマパラだろ?
…もしかして、SnowManのファンに何かやられたんじゃ、、
嫌な予感が身体中に駆け巡ると同時にゆっくり顔を上げたAは、俺を見てぼろぼろと涙を流した。
萩谷「A、、」
『けー、ちゃん』
萩谷「うん。慧ちゃんだよ。」
『けーちゃ、慧ちゃん、、、っ』
俺の存在を確かめるみたいにしがみついてくるAを離すことができなくて、そこから長いこと時間が過ぎた。
少し落ち着いたAは、耳が聞こえない、と手話で言った。
それからリビングのソファに移動して、今日何があったのか全て聞いた。
永瀬が今日は一緒にいようかと言ってくれたけど、俺がいるから大丈夫だと断って帰ってきたことも。
《慧ちゃんがいるなら、家に帰ってもひとりじゃないから》
萩谷《うん、そうだね。帰ってきてくれて嬉しいよ。おかえり、A。よく頑張ったね。》
《ただいま、慧ちゃん》
Aは耳が聞こえづらいのだと初めて聞いたのは2016年の秋、その時にはもう突発性難聴を患って1ヶ月は経ってた。
ずっと、俺たちに迷惑がかかるから…と言えなかったんだって。
迷惑なんかじゃない、Aのこと大事だから俺たちにも守らせて欲しい、
そう言って、メンバー全員で手話を覚え始めたあの頃がとても懐かしい。
最初は拙かったその会話も、もう今じゃ慣れたものだ。
ただ、その年が明ける頃にはAの症状は回復していって、ひどい難聴に悩まされることも無かった。
かかりつけのお医者さんには、「あなたたちの気持ちがAに伝わって、ここが安心できる場所だと認識できたことが最大の要因だと思うよ。あの子を受け入れてくれてありがとう。」と感謝された。
それが今になってここまで悪化するなんて。
…やっぱりそんなに思い詰めてたんだと苦しくなった。
Aは強いわけじゃない。
強く見せないと、こんな汚い世界で生きていくことが出来なかっただけだ。
本当は誰よりも脆くて弱くて細くて、誰かが守ってやらないといけない子なんだ。
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らる(プロフ) - 茲気» コメントありがとうございます。心情描写などは特に力を入れてなるべくリアルを追求しているのでそのお言葉本当に嬉しいです。これから先も色んなことが起こる予定ですが、ドキドキしながら楽しんでいただける作品になるよう更新頑張ります! (2021年4月18日 12時) (レス) id: b46fc1d595 (このIDを非表示/違反報告)
淼(プロフ) - 本当に当時彼女がいたかのように思えるぐらい細かい描写が多く、数年前を勝手に思い出しています。これから先明るい方に進むのか加入組とはどうなるのかなども楽しみにしています!大変なご時世ですので、体調に気をつけながらこれからも素敵な作品を作ってください。 (2021年4月18日 1時) (レス) id: a1ca234ad0 (このIDを非表示/違反報告)
らる(プロフ) - 葵音さん» 初めまして、コメントありがとうございます。このお話は細かい設定まで考えて書いているのでそう言っていただけて本当に嬉しいです!これからも感動して頂けるお話が作れるよう頑張ります! (2021年4月7日 12時) (レス) id: b46fc1d595 (このIDを非表示/違反報告)
葵音(プロフ) - はじめてコメント失礼します。私らるさんの作品読むと必ず泣いてしまって、一つ一つがとっても繊細に作られていて大好きです。この作品も他の作品も更新楽しみに待ってます!無理のなように頑張ってください!応援してます (2021年4月4日 23時) (レス) id: c470cd415d (このIDを非表示/違反報告)
らる(プロフ) - よーこさん» え〜!このお話きっかけなんて本当に光栄です。ありがとうございます!今後も楽しんでいただけるよう更新頑張りますね。 (2021年4月4日 16時) (レス) id: b46fc1d595 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らる | 作成日時:2021年3月13日 8時