ついに起こった事件 ページ22
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いつか起こるだろうなとは思っていたことが、ついに起きたのはちょうど廉が見学に来た日、
いつも通り客席に降りて通路を歩いていた時だった。
Aちゃん危ない!!!なんてファンの子が口パクしてるのが見えて後ろを向くと、通路側に立っていた、深澤くんのうちわを持って怖い顔をした女の人がペンライトをわたしの方に大きく振り下ろした。
ガツ、と嫌な衝撃が頭に走る。
「「きゃーーーー!!!」」
そんな叫び声と共にわたしはその場に蹲った。
…ダメだ。
聞こえない。
これまで小さく拾えていたはずの音さえも今の衝撃で聞こえなくなってしまった。
あれ、痛いな。なんでだろ…
『……』
それでも腕につけたバングルはクリックを刻む。
歌わないと。
だってわたしはアイドルなんやから。
ふらふらと立ち上がり、心配そうにわたしを見てる周りの子たちに「大丈夫だよ。」と笑いかけると予定通りステージに戻る。
ありがたいことに他のメンバーは気付いてないみたいやった。
頭がズキズキと痛む。
耳鳴りが止まらない。
力を抜くと立っていられないくらい足元がぐらつく。
それでもステージに立つ。
わたしの大切な人たちのために今自分が出来ることはステージに立つことだけやから。
見学席にいる廉の方を見た。
目が合うと手話で「大丈夫?」と聞いてくる。
うん、とひとつ頷いて笑ってみせる。
その後のことは全然覚えてない。
気がついたら公演は終わってて、わたしはアドレナリンみたいなものでなんとかやりきったらしい。
でももう限界やった。
永瀬「Aっっ!!!!」
ステージ裏では廉が待ち構えていて、ああ、嬉しいな、、って思ってたら、手を広げながら駆け寄ってくる廉の元に辿り着くまでに地面がぐにゃりと歪んだ。
まるで全部がスローモーションみたいに見える。
わたしはそのまま床に倒れ込んだ。
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らる(プロフ) - 茲気» コメントありがとうございます。心情描写などは特に力を入れてなるべくリアルを追求しているのでそのお言葉本当に嬉しいです。これから先も色んなことが起こる予定ですが、ドキドキしながら楽しんでいただける作品になるよう更新頑張ります! (2021年4月18日 12時) (レス) id: b46fc1d595 (このIDを非表示/違反報告)
淼(プロフ) - 本当に当時彼女がいたかのように思えるぐらい細かい描写が多く、数年前を勝手に思い出しています。これから先明るい方に進むのか加入組とはどうなるのかなども楽しみにしています!大変なご時世ですので、体調に気をつけながらこれからも素敵な作品を作ってください。 (2021年4月18日 1時) (レス) id: a1ca234ad0 (このIDを非表示/違反報告)
らる(プロフ) - 葵音さん» 初めまして、コメントありがとうございます。このお話は細かい設定まで考えて書いているのでそう言っていただけて本当に嬉しいです!これからも感動して頂けるお話が作れるよう頑張ります! (2021年4月7日 12時) (レス) id: b46fc1d595 (このIDを非表示/違反報告)
葵音(プロフ) - はじめてコメント失礼します。私らるさんの作品読むと必ず泣いてしまって、一つ一つがとっても繊細に作られていて大好きです。この作品も他の作品も更新楽しみに待ってます!無理のなように頑張ってください!応援してます (2021年4月4日 23時) (レス) id: c470cd415d (このIDを非表示/違反報告)
らる(プロフ) - よーこさん» え〜!このお話きっかけなんて本当に光栄です。ありがとうございます!今後も楽しんでいただけるよう更新頑張りますね。 (2021年4月4日 16時) (レス) id: b46fc1d595 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:らる | 作成日時:2021年3月13日 8時