なつのおひさま 【橙】

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「そうかあ、Aちゃんもう高2かあ。早いなあ。そらぼくもおっさんになるわけやわあ」









ふふふと笑うおにいさんに、ぶんぶんと首を振る。









「おにいさんはぜんぜんおっさんじゃないやん」









「おっ、そんなん言うて何がほしいんや〜？ 言うてみ〜」くつくつと笑うおにいさん。









あたしはほんとにそう思うから言ったのに。









あたしがおにいさんに初めて会ったのは、まだあたしが保育所の頃。









その頃おにいさんは中学生だか高校生だかで、親戚のひとが運営するこの海の家でアルバイトのようなことをしていた。









確か、あたしとおにいさんはちょうど一回り、12離れてたはず。









「あたしが今17やから……おにいさん、いま、29？」









「そおそ。もーアラサーやで、いらんわあ」









ぱっと咲かせるその笑顔は、とても30手前とは思えなくて。









あたしが初めて出会った頃の…………少年のままの輝きがあった。









ぎゅうん。









今年もまた、痛いくらいに心臓を掴まれる。









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