なつのおひさま 【橙】

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「俺こないだ彼女にフられたばっかで寂しいねん〜慰めてやあ」









いや、知らない、知らない、知らない、あなたの恋愛事情も寂しいとかも知らない、どうでもいい。









なんとか穏便に離れられないか、ときょろきょろするけれど相変わらず人気はなくて、さらに人気のない岩場の方へぐいぐいと引っ張られていってしまう。









「ほんまに、あの、ごめんなさい、わたし」









やめてください、って強く言えば離してくれるのかな。









でも、もしそれで機嫌を損ねて怒ってきたら。









泳ぎは得意だけれど足の速さに自信はないから、逃げたとしても逃げきれる自信はないし、そもそも力でねじ伏せられてしまっては太刀打ちができない。









怖い。男の人の力をちらつかせられてしまうと、どうしようもない。









そんなことを考えている間にもぐいぐいと引っ張られて、岩場の死角へ連れてこられてしまった。









「やっ、りょお、りょおっ」









さすがに、これはやばい。









もう一度、お腹の中から、出せるだけの力を振り絞って、りょおっ、と叫ぶ。









叫びも虚しく、亮に届くわけでもなく、「あーやかまし」とサングラスの男に手で口を覆われてしまう。









頭の中がまっしろになった。









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