マイナス100cmの恋【青】 (ページ7)

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「ヤスー？ヨコおったかー？」

安田さんの後ろからまた声がした。
それから、複数の足音。

「あれ、なんやヨコナンパか？」

安田さんの肩のあたりからひょっこりと顔を出したのは、同じく関ジャニ∞のメンバーの村上信五さんだ。

続いて、渋谷すばるさん、丸山隆平さん、錦戸亮さん、大倉忠義さん。

侯隆と安田さんを初め、全員変装をしていたけれど、雰囲気は隠せるものではなく、一目で分かった。

「せやからナンパちゃうっちゅうねん。ただの知り合い、大阪時代からの幼なじみに会うただけや」

侯隆は、ややぽってりとした唇を尖らせる。が、すぐにまた枝豆を口に放り込んだ。

「なんや、そうなん。お姉さん、ひとり？」

問いかけてきた村上さんに、はい、と頷く。細めのフレームの眼鏡から覗く目は、テレビで観るとおりぱっちりと綺麗だった。

「やったら俺らといっしょに飲まへん？それともひとりがええ？」

人懐っこく笑いかけてくれる村上さんの突然の申し出に、少し面食らってしまった。

「え、ええと……いや、でも」

ちらっと侯隆の方を見る。と、彼は特に何も考えていないようで、「ええんちゃう？」と枝豆で口をもごもごさせながら言った。おい、わたしの枝豆、もう全部ないやんけ。

「じゃ決まりやな〜俺ら個室におるからおいで！」

「あ、あ、ちょ」

わたしの返事を待たず、村上さんはわたしの伝票を手に取り、安田さんは「おっちゃんこれ！ごっそさん！」と枝豆のお皿と生ビールのジョッキを店主らしきおじさんに返し、丸山さんはわたしのバッグとコートを手に取り、談笑しながら行ってしまった。

「ええ…………」

「なにしてんねんA、はよきーや」

侯隆の急かす声に、椅子を降りて渋々ついていく。

今日は別に、まさかこんな日になるだなんて思ってなんていなかったのに。

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