マイナス100cmの恋【青】 (ページ49)

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「………………あ、Aちゃん、そこの醤油取ってくれへん？」

わたしの斜め前にあった醤油を取り、丸山さんに渡す。

ありがとー！と笑った丸山さんは、ふと何かに気づいたように、わたしをじいと見つめた。

「………………丸山さん？」

「Aちゃん」

はい？と答えるより早く、右手を丸山さんにそっと取られた。

「ま、まるやまさん」

びっくりして丸山さんを見つめ返す。

丸山さんの顔がぐっと近づいたかと思うと、彼の鼻先がわたしの首に触れた。

「まっるやまさん」

突然のことにびっくりして声が裏返る。

ぱっと顔を上げた丸山さんは、「やっぱり！」とにっこりと笑った。

な、なにがやっぱり………………？

「Aちゃん、ヤスとおんなじ匂いする」

と言って、丸山さんはにこっと笑った。

あ………………そうだ、いつもの癖で、安田さんにもらった香水をつけてきていたんだった。

慌てて、ぱっと首筋に手を当てる。

安田さんと、同じ匂い……、改めて言われると、どきどきする。

同じ香水をつけてるなんて、なにか怪しまれるかな。

少しどきどきしたけれど、丸山さんは特に気にする素振りもなく、「今日の服にあっててええ感じ！」とにかっと笑った。

それから丸山さんは、わたしの服やメイクをさらっとごく自然に褒めてくれたりしてくれた。

普段そんなに面と向かって褒められることがないから___安田さんのことは抜きとして___、どきどきして顔に熱が集まってしまった。

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