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大人になれば、侯隆が好きな気持ちも忘れて、他に好きな人ができるのかな、なんてぼんやりと考えていた。
けれど、この歳になっても侯隆を好きな気持ちが薄れることはなくて。
テレビで彼を見るたび、世界が違う、と現実を突きつけられるのに、それでもわたしの彼に対する気持ちは、あのいっしょに走り回って転げ回った頃から変わっていないのだ。
気づいて。気づいて。気づいてほしい。
あなたの目に、わたしを映してほしい。できるなら、わたしだけを。
そう思うのに、この30年間、わたしは一度だって彼に自分の気持ちを伝えることができていない。
いっそ、好きと言ってしまえば、楽になれるのか。
楽になれるのかもしれない。でも、もう二度と話せなくなるかもしれない。
それなら、このままの方が…………、
ぼんやりとそんなことを考えていたわたしは、「ついたで」という侯隆の声ではっと我に返った。
「ありがとう」と言って助手席を降りる。
こうやってわたしは今日も、侯隆という現実に向き合うことなく、なんとなく逃げる。
わたしの気持ちに気づいてほしい。あわよくば、応えてほしい。
そう思うのに、傷つくのが怖くて、逃げてばかりいる。
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なのはなさいた(プロフ) - 更新ありがとうございます!続きが楽しみです!応援してます! (2019年3月27日 3時) (レス) id: 9a9c48371e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:uu | 作成日時:2019年3月7日 0時