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「………………あ、せや」
いつもどおりだらだらと過ごしていると、ふと思い出したように安田さんがぱっと顔を上げた。
そのまま、ソファにもたれかけさせていた紙袋をあさる。
そういえば今日は大きな荷物を持っていたな。
「………………はい、桜木さん、これあげる」
「っえ」
渡されたのは、可愛らしく包装された青色の袋だった。
なぜ渡されたのかも、中身が何なのかも分からないわたしは、何も言えずにただぱちくりと安田さんを見つめ返していた。
「これ、いつもごはん食べさせてくれてるお礼」
ええ、とさっきよりも大きな声が出る。
「お礼なんてそんな……………わたし、なにもしてませんよ……………悪いです」
わたしの言葉に、安田さんはふふっと笑った。
「おれがマカロンもらったときとは逆やなあ。あのときおれは受け取ったんやから、今度は桜木さんが受け取ってくれる番やでえ」
と、わたしの手に袋を渡す。
「それを言われると……、ありがとうございます」
開けてみて、とにこにこする安田さんに、もう一度お礼を言って、可愛らしいリボンを丁寧に外す。
中身を取り出すと、服が入っていた。
「え、これ」
ロゴを見なくてもわかる。わたしが好きなブランドの、ルームウェアだ。それから、安田さんも好きな。
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なのはなさいた(プロフ) - 更新ありがとうございます!続きが楽しみです!応援してます! (2019年3月27日 3時) (レス) id: 9a9c48371e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:uu | 作成日時:2019年3月7日 0時