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相変わらず毎日安田さんとメッセージのやりとりはするものの、安田さんにも、侯隆にも、もちろん関ジャニのメンバーのみなさんにも合わないまま、件の飲み会から2週間とちょっとが経っていた。
「はあ…………」
本日何回目か分からないため息をつく。32回を超えたあたりで数えるのをやめてしまった。
ここ数日、とんでもない厄日だった。
明らかに上司のミスなのに、いつのまにかわたしに責任がすり替えられているし、そのことでこれでもかというほど怒鳴られ唾を飛ばされるし、別の上司は慰める風を装い、肩や腰を執拗に撫で回してくるし、関ジャニの番組は録画し忘れたし。
最後のは自分のせいだけど。
街灯に照らされた夜道を、こんな沈んだ気持ちでひとりで歩いていると、とりあえず叫びだしたくなってしまう。
わー! とかあー! とか、何も考えずに叫びたい。大きな声を出して、胸の奥の方にふつふつとたまったこのどろどろを蹴散らしたい。
それができないのは、もう子どもではないから。時と場合、それから、世間体を気にするようになってしまったからだ。
「はあ…………」
何度目か分からないため息がまたひとつカウントされた。
あと数百メートルで自宅につくという頃、路地の角を曲がったところで、ぼすんと何かにぶつかってしまった。
「い…………す、すみません」
これまた今日何度目か分からない謝罪の言葉だ。
ぶつかった感触から人だと分かったわたしは、謝って頭を下げる。
厄介なひとじゃありませんように……。
「あれ、桜木さん」
聞き慣れた声に顔を上げると、キャップをかぶり、眼鏡とマスクを着用した安田さんだった。
「安田さん……」
「偶然やなあ。ごめんなあ、おれイヤホンつけてたから…………怪我してへん?」
「してないです、大丈夫です。わたしも考え事してて…………すみません」
まさか偶然会うなんて思ってもいなかった。そういえば安田さんの自宅が近いんだっけ。
「桜木さん、お仕事帰り? お疲れさま」
「はい、ありがとうございます。安田さんは?」
「おれ? おれはねえ」
安田さんの言葉を遮るように、きゅるるる、と安田さんのお腹が鳴った。にかっと柔らかくはにかむ。
「腹減ったからコンビニに弁当でも買いに行こうかなーって」
「お夕飯コンビニ弁当ですか……?」
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なのはなさいた(プロフ) - 更新ありがとうございます!続きが楽しみです!応援してます! (2019年3月27日 3時) (レス) id: 9a9c48371e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:uu | 作成日時:2019年3月7日 0時