マイナス100cmの恋【青】 (ページ13)

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「桜木さん、ごめんなあ、うるさいやろ」

ちょっぴり眉毛を下げた安田さんが、申し訳なさそうに耳打つ。

酔いも回ったのか、テンションマックス大声でモッツァレラチーズゲームを始めだし、なぜか野球挙にシフトチェンジし、渋谷さんと大倉さんが下着一丁になっているところだった。ちなみに丸山さんは勝負に負けていないけれど脱いでいる。錦戸さんと村上さんと侯隆はそれを見てげらげらと笑っている。

「いいえ……すごく楽しいですよ」

自然と口元が綻んでいたし、もちろん楽しいというのは心からの本音だった。
こんな風に何も考えず何にも縛られずにただ笑っていられるのは、高校以来かもしれなかった。

「そう？そない言うてくれるんやったらよかったわ」

と言って安田さんはまたお酒を煽った。本当にお酒に強いんだな。

決して弱くはないけれど、だからといってお酒に強いわけでもないわたしは、レモンサワーをちょびちょびと飲む。

「ヨコちょとはいつからの付き合いなん？」

「お仕事なにしてるん？」

「あ、その腕時計って○○の？おれもあのブランド好き〜！」

「Aちゃん、次なに頼むぅ？」

みんなが楽しく盛り上がっている間も、安田さんはあれこれ話を振ってくれたり、質問してくれたり、わたしの居心地が悪くならないように気を遣ってくれた。

「家が隣やったんで……わたしが生まれた頃からですかね……侯とは5つ離れてるんですけど」

「普通にOLです」

「ほんまですか？このブランドすっごい可愛いのに結構マイナーなんで嬉しいです」

「あ、じゃあ焼き鳥を……」

わたしは結構人見知りなところがあるから、気さくに話しかけてくれ、話を途切れさせない安田さんにとても助けられていた。

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