【Ａ3】きみをまもる (ページ8)

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翌日、いつものように劇団の前に彼女はいた。

「安平さん、おはよう。待ってたっすか？」

「あっ、皆木くんおはようございます。全然大丈夫です。お気遣いどうもありがとうございます」

(……あれ？)

なんか元気ない？
なんとなくいつもと違う気がする。
いつも俺が言う前に挨拶して、今日も精一杯お守りいたしますとかなんとか言ってくるのに。

いつもなら大学まで彼女がいろんなことを話してくれるもんだけどそれもなく。
結局大学に着く頃まで何も話さなかった。

そして別れる前にやっと口を開いた。

「……あの、お話があるのですが」

「話？」

「……大変申し訳ないのですが、今日の帰りは門の外でお待ちしております」

「え、あぁ……了解っす」

そのことを考えてたのか？
昨日は一緒に帰れなくて今日も門の外とかだからって責任感じてたとか？

別にそこまで気にしないのになぁ。

「じゃあまた帰りに」

「はい。失礼します」

(まぁどうせ気づいたら隣にいるんだろう)

そう軽く考えてたけど、結局彼女には帰りに門の外に行くまで1度も会わなかった。