下心 ページ19
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「した、ごころ……?」
「っあ、ああ、いやえっと、その」
(顔、真っ赤だ)
それって、そういう意味としてとっていいのか?
もしかして出会ったときもそういうつもりだったとか?
ねぇ……どういうこと?
「安平さん、それってどういうこと?」
「…………っ私、ずっと皆木くんに憧れていたんです」
さすがに観念するしかなかったようで、真っ赤に染まった顔をこっちに向けて彼女はそう言った。
「私、小さい頃にここに来てからずっとおばあちゃんとふたりきりだったんです。こんな格好でこんな力があるから近づこうとする人もいなくて」
すこし寂しそうに目を伏せた。
確かにここはすごく静かだ。
奥におばあさんがいるのは知ってるけどほとんど音はしないし、黙っていたら本当に誰もいないみたいだ。
(俺のうちとは真逆だな)
男ばっかりの10人兄弟で毎日騒がしくて、だいたいいつも隣には誰かいた。
同じように寂しいという気持ちはあってもこれじゃ感じ方が大きく違うだろう。
「皆木くんはいつも隣に誰かいて、誰とでも仲良くしてて、すごいなぁって思っていました」
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作者名:がまずみ | 作成日時:2017年4月29日 23時