↓ ページ23
・
「そんなのっ……ずっと私が聞きたかった!!」
「……え?」
「劇団に入ったこととかそんなの知らなかったし、ゲームが好きとかも全然知らないし。綴くんが話してくれた茅ヶ崎くんは私の知ってる茅ヶ崎くんとは全然違ってて……私の方がずっと一緒にいるのに、知らないことが多くてっ」
さっきまで目に溜まっていた涙が今更耐えられずに溢れてきて。
それとともに彼に聞きたかったことが溢れた。
「……私は社会に出て働いたことなんてないから会社でどうとか、全然分かんないし。変に気に障るようなこと言ったらどうしようとか思って、何も聞けくて」
これは私が勇気を出せなくて彼に甘えてた言い訳。
全部彼のせいにして逃げてたこと。
いい歳して泣きながらこんなこと言ってるんじゃまるで子供みたいだ。
彼はこんな私に呆れてしまうだろうか。
「………私、茅ヶ崎くんから1度も好きって言われたことない」
「えっ……まじ?」
心底驚いたような顔をして、私の肩を掴んでいた手の力が弱まった。
全然気づいてなかったって顔だ。
……もしかして無意識に私にそう言うのを避けてた、とか?
自分で思ったくせに悲しくなって視線を落とした。
それと同時くらいに、また肩に置かれた手に力が入って彼の方に体が引き寄せられた。
「………え……」
「……ごめん。酷いこと言って勝手に怒って」
優しい声に顔を上げると、いつも見慣れた優しい目だった。
「……俺はAが好きだよ。出会ったときからずっと好き。ねぇ、Aは俺のことどう思ってるの?」
「………私も、茅ヶ崎くんのことが好きです」
答えなんて、そんなのずっと前からあった。
ずっとずっと好きだっんだから。
髪を優しく撫でられながらA、と呼ばれて。
ゆっくりと見上げるとすぐそばに彼の顔があって、すぐに私達の間の距離はなくなった。
338人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
がまずみ(プロフ) - 架月*さん» コメントありがとうございます。楽しんでいただけるように頑張ります。 (2017年6月13日 17時) (レス) id: 34bae0cedc (このIDを非表示/違反報告)
架月*(プロフ) - いつも更新楽しみにしてます!頑張ってください! (2017年6月13日 7時) (レス) id: 6bbbbd55e1 (このIDを非表示/違反報告)
がまずみ(プロフ) - 霜月奈夢さん» 教えていただきありがとうございます。以後気をつけます。 (2017年5月30日 22時) (レス) id: 34bae0cedc (このIDを非表示/違反報告)
霜月奈夢(プロフ) - オリフラが外れていません。違反の対象になります。 (2017年5月30日 21時) (レス) id: 93625887de (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:がまずみ | 作成日時:2017年5月30日 0時