初めまして、命の恩人です。2【東卍】

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千冬side

タケミっちと一緒に登校していると、背後から誰かに肩を軽くトントンと叩かれる。

振り返るとそこには、俺らと同じ高校の制服を身に纏ったAさんがいた。

『千冬くん、久しぶり』

「……ッ！え、Aさん…？！」

やばい。制服姿、めちゃくちゃ可愛い…。


「千冬！こんな美人と知り合いなのかよ？！」

「羨ましいだろタケミっち」

『へえ、君が噂の花垣武道くんか。
柊 Aです。よろしくね』

Aさんに笑顔を向けられてあたふたしている相棒。

……なんか、気に食わねえ。



「……。」

この感情は今日に限った話ではない。

…最近、彼女を遠く感じる。

現在は黒川イザナが彼女の家に居候しているらしい。

平気で人を殺せるような奴だ。

以前見かけた時なんか、灰谷兄弟を連れて歩いていた。
(※彼らが一方的について来ただけ)


" 去る者は追わず、来る者は拒まず "


いつかの授業で習った孔子の言葉。

Aさんには、この言葉がぴったりだと思う。



…ねえ、行かないでよ。

独り占めしたいだなんて贅沢言わないから。

そばに居てくれるだけで充分だから。


無意識に、彼女の手をぎゅっと握る。

『ん、どうした？』

「…何処にも、行かないで下さいね」

『ふふ、漫画の読みすぎ』

"早く学校行くよ"と繋いだ手を引かれる。

「うっす…！」

まるで、この人と初めて会った時みたいに。

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