【Fischer's】君に溺れる 【短編集】

躾をしようか feat.MASAI ページ49

『…マサイ…ｯ』
「…何、泣いてんの」


瞳から流れた一筋の涙を彼の指先が掬う。
今のマサイは、普段とは違って声も表情も冷たい。


「言ったろ、これは”躾”だって」
『あ……ぐっ、』


そう言って彼は私の首輪の紐を引っ張る。苦しくて歪む表情を、見て、嗤う。

『もう…やめ、て…』
「……は？」

彼は紐を思いっきり引き寄せ、私の目を真っ直ぐ見つめた。彼の瞳は光を持っていないように見えた。


「…俺以外の男と仲良くするなって言ったよな、」
『…… 、それは』
「…ｯ、」

彼は力が抜けてしまったように、音を立てて座り込んだ。震えているようにも見えた。

『マサイ…？』
「…Aが、いつもより楽しそうに見えた」
『え、？』

ぽつり、と呟かれたと同時に、勢いよく彼は私を床に押し倒した。


『…っ、マサ、』
「A…っ、」

彼は先ほどとは違って、恍惚とした表情を浮かべていた。声を掛けることも叶わず、彼は私の肩に噛み付いた。

『い、っ…』
「…ん、ぅ…、」

横目で見るとくっきりと歯型が付いていた。
彼はゆっくりと私との距離を縮めた。


「なぁ、いいよな、」





”このまま、奪っても”






8/14ランタンさんリクエスト

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