ウソク先輩、一目惚れですか？

12杯目 ページ13

昨日の今日でもバイトに向かう。
昨日は家でたくさん泣いた。少しすっきりした気持ちになった。
心が少し強くなったみたい。
それでも足取りは重い。


WS「Aちゃーん！
今行くところ？一緒に行こう？」


後ろからウソク先輩が追いかけて来てくれた。
はい！と返事して2人で歩き出す。


『ふふ、ウソク先輩、髪がぴょこって跳ねてますよ？ㅋㅋ』


WS「え？どこ？」


『ここです！』


余りにも気になり過ぎてウソク先輩の髪に触り直してあげる。


『少しマシになりましたよ！ㅎㅎ』


WS「ありがとう...。」


可愛い一面を知れて朝から嬉しい。
ふと腕時計を見ると、なかなかやばい時間だった。


『ウソク先輩！時間やばいです！走りますよ！』


ウソク先輩のおかげで足取りが重いはずのバイトの行き道も楽しかった。
ここ最近のバイトはウソク先輩とは入れ違いが多くて
久しぶりに話すことができたんだ。
ウソク先輩といるとすごく安心するんだ。


不思議と久しぶりにバイト頑張ろう！と思えた。









ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ウソクside
朝、バイトに行く時にふと前を見るとAちゃんが歩いていた。
思わず声をかける。
朝から会えてラッキーなんて柄にもないことを思っていると、Aちゃんに寝癖を指摘された。


寝癖はあまりつかないタイプなのに珍しい、と思いながら直そうとする。
すると、Aちゃんの手が伸びて来て俺の髪に触った。
突然のことでびっくりしたが、できるだけ平然を装った。


人に髪を触られてあんなに緊張したのは初めてだ...、なんて思っていると、Aちゃんが叫んだ。


『ウソク先輩！時間やばいです！走りますよ！』


忙しい子だ、と少し笑ってしまう。
俺の少し前を走っていく君の姿を見ながら、俺は小さく「好きだよ。」と呟いた。









＿＿＿＿＿＿＿この時Aちゃんの変化に少しでも気付いてあげられてたら、と後悔したのはもう少し後のお話。

13杯目→←11杯目

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す