検索窓
今日:16 hit、昨日:0 hit、合計:1,047 hit

、、 ページ27

テーブルに置かれたアイスを見て、さらに怪訝な表情になった。





「アイス、溶けてるけど」




「しまった!」





斑尾がアイスに飛びつき、スプーンでかき混ぜる。




暖房の効いた店内で、アイスはドロドロに溶けていた。





「これ、また冷凍してくれ!」





玄師は苦い顔をする。





「それ、本気で言ってる?
お菓子をダメにして、さらに凍らせるって・・・」





玄師の顔が氷でできているかのように冷たくなる。




初めて見る玄師の怒った顔を、真衣は唖然として見つめた。





「いや、悪い玄師。
冗談、冗談です。
このまま食べます」





玄師は腕組みして、間近で斑尾を監視した。




斑尾はアイスのグラスに口をつけ、ぐぐーっと飲み干す。





「あれ!?
美味いぞコレ」




「ほんとですか、斑尾さん」




「老舗のミルクセーキの味がする」





玄師は表情を和らげ、空になったアイスの器を斑尾の手から受け取る。




怒りは落ち着いたようで、頬に笑みを見せた。





「アイスの原料は牛乳、砂糖、卵黄だからね。
凍っていなければミルクセーキなんだよ」




「なんだよ、溶けても美味いんだったら先に言えよ」




玄師は目を吊り上げる。





「うちは菓子店なんだよね。
喫茶店と違って、ミルクセーキは出さないんだよ」




「でも牛乳瓶みたいなものに詰めて売ったら、人気が出るかもしれませんよ」





玄師はふと真顔になって腕を組み、片手で顎を摩った。





「瓶入りミルクセーキ・・・。
良いかもしれません。
さっそく案を練りましょう。
使えそうな瓶を探して・・・」




「あの、でも玄師さん。
もう閉店時刻なんですけど」




「残業代は出します」




「やります!」





厨房に入っていく2人の背中を見送りながら、斑尾は肩を竦めた。





「年末ギリギリまで働くって、2人ともお菓子バカだな。
本当に」





そう言い置いて、優しく笑いお茶を飲み干した。






ーーfineーー

この小説の続きへ→←、、



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (2 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:井原 x他1人 | 作成日時:2020年6月14日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。