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、、 ページ26

「ですよね!
私、アムリタ大好きです」





斑尾は不意に真面目な顔になって真衣を見つめた。





「真衣ちゃん、ありがとな」




「え?
な、なんですか斑尾さん。
急に真面目になっちゃって」




「玄師、もう大丈夫そうだな」





真衣の目尻にゆっくりと涙が溜まった。




真衣が大きく頷いてみせると、斑尾はパッと表情を変えた。





「うっし。
じゃあ、ひとつ美味い菓子を食って良い年越しを・・・」





カランカランと音を立てて店の扉が開き、花屋の店員である蒼山翠が入ってきた。





「あら、翠。
いらっしゃいませー」




「こんにちは。
あれ、斑尾さんも来てたんですか」




「おう。
元気にしてるか?」




「おかげさまで」





翠はニコリと笑ってショーケースに向き直ると、口の横に人差し指をあてて軽く首を傾げる。




真衣が真似して首を傾げながら翠に問う。





「今日はお買い物?」




「うん。
ウチで忘年会するの。
ケーキがあったら盛り上がるかなって思うんだけど・・・。
ホールケーキは無いんだね」




「年末は予約がなかったら作らないのよ」




「残念。
じゃあ、ここにあるお菓子、全部下さい」




「「え!?」」





真衣と斑尾の声がキレイにハモった。




斑尾が思わず立ち上がったのを、真衣が目線で留まらせる。





「全部?
そんなに沢山?」




「うん。
10人くらい集まるから。
皆んな甘い物好きだし」




「そ、そうなんだ・・・。
毎度ありー」





翠が大きな箱を抱えて店から出て行くのを、斑尾は悲しそうに見送った。




その雨に濡れたオカピのような様に真衣は同情し、冷蔵庫からアイスを取り出して斑尾の前に置いた。





「・・・真衣ちゃん?」




「玄師さんの試作品ですけど、よかったら」




「え・・・試作品ってことは、真衣ちゃんが食べる分だろ?」




「私、もう食べてますから大丈夫です」





斑尾は目に涙を溜めた。





「真衣ちゃん・・・。
キミはやっぱり俺の天使だ!」





斑尾は真衣の手を握ろうとしたが、真衣はするりと逃げて行く。




しかし斑尾は真衣の後をついて回る。





「ただいま・・・何してるの2人とも」





店の中をくるくる歩き回る2人を見て、配達から帰った玄師が怪訝な顔をする。

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作者名:井原 x他1人 | 作成日時:2020年6月14日 11時

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