111 ページ14
真衣は玄師と車を見比べると、車体に書いてある店名を指でなぞった。
「・・・私、小さな頃からこのお店が大好きで」
「うん」
「お爺さんに代わって玄師さんが店長になった頃には�犹笋論簑个海里�店で働くんだ�瓩辰瞳茲瓩討い董�
「うん」
「夢は叶ったんですけど、新しい夢ができました」
「何？」
真衣は立ち上がると、力強く拳を握りしめた。
「このお店を、日本一応の菓子店にしましょう！」
玄師は苦笑いする。
「それはまた大きな目標だね」
「日本中に知られるオリジナル菓子を作って、菓子品評会で金賞を獲って、全国各地からお客さんがやって来る。
そんなお店にしましょう！」
玄師は暫く真衣を見つめると、小さく頷いた。
「そうだね、真衣さん。
そんな凄いお菓子を作ろう。
けれどその前に」
「その前に？」
「クリスマスケーキを作り上げないと。
今年はサンタをもっと可愛くして・・・」
いつもの調子でニコニコお菓子について語り出した玄師を見て、真衣の頬には自然と笑顔が浮かんだ。
・
・
・
・
小麦を使う前に、小麦アレルギーの人のためのケーキを作る。
小麦粉を使わない代わりに米粉を使う。
浸水した米をザルにあげて乾燥させ、擂鉢でさらさらになるまで擂る。
卵にキビ糖を混ぜ、しっかり泡立てる。
気泡がなくなり滑らかになるまで泡立て続け、牛乳とグレープシードオイルを混ぜたものを少量ずつ卵の中に入れて混ぜる。
完全に混ざったら米粉をふるい入れ、さっくりと混ぜる。
型に生地を流し込み、余熱したオーブンに型を入れる。
「あとは30分焼くだけ」
「シフォンケーキの作り方に似てますね」
「そうだね。
焼いた後に寝かせるのも同じかな」
「デコレーションはどうするんですか？」
「生クリームと、サンタとトナカイのマジパン。
それとチョコレート」
「オーソドックスな感じですね」
「はたしてそうかな？」
玄師はニヤリと笑うと、冷蔵庫からマジパンで作った人形を取り出した。
トレーの上に、人形がずらりと整列している。
「かわいい！
サンタにトナカイにソリまで！
どうしたんですかコレ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：井原 x他1人 | 作成日時：2020年6月14日 11時
