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「夢は叶ったんですけど、新しい夢ができました」
真衣は立ち上がると、力強く拳を握りしめた。
「このお店を、日本一応の菓子店にしましょう!」
玄師は苦笑いする。
「それはまた大きな目標だね」
「日本中に知られるオリジナル菓子を作って、菓子品評会で金賞を獲って、全国各地からお客さんがやって来る。
そんなお店にしましょう!」
玄師は暫く真衣を見つめると、小さく頷いた。
「そうだね、真衣さん。
そんな凄いお菓子を作ろう。
けれどその前に、クリスマスケーキを作り上げないと。
今年はサンタをもっと可愛くして・・・」
いつもの調子でニコニコお菓子について語り出した玄師を見て、真衣の頬には自然と笑顔が浮かんだ。
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小麦を使う前に、小麦アレルギーの人のためのケーキを作る。
小麦粉を使わない代わりに米粉を使う。
浸水した米をザルにあげて乾燥させ、擂鉢でさらさらになるまで擂る。
卵にキビ糖を混ぜ、しっかり泡立てる。
完全に混ざったら米粉をふるい入れ、さっくりと混ぜる。
型に生地を流し込み、余熱したオーブンに型を入れる。
「あとは30分焼くだけ」
「シフォンケーキの作り方に似てますね」
「そうだね。
焼いた後に寝かせるのも同じかな」
「デコレーションはどうするんですか?」
「生クリームと、サンタとトナカイのマジパン。
それとチョコレート」
「オーソドックスな感じですね」
「はたしてそうかな?」
玄師はニヤリと笑うと、冷蔵庫からマジパンで作った人形を取り出した。
トレーの上に、人形がずらりと整列している。
「かわいい!
サンタにトナカイにソリまで!
どうしたんですかコレ」
「勿論作りました。
こんなのもあります」
チョコレートで作った屋根と煙突も冷蔵庫から出す。
「これ・・・。
サンタが煙突に入るところですか?」
「そう。
良いでしょう?」
真衣はラップに包まれたサンタをツンとつつく。
愛嬌のある顔をしたサンタは優しそうで、何より幸せそうだった。
「食べるのが勿体ないですね」
「ありがとう。
でもハーブやエッセンスを使って、味も凄く美味しく出来たんだ。
メレンゲの人形みたいに火を通していないから日持ちはしないけど、ケーキの賞味期限内なら大丈夫だよ」
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作者名:井原 x他1人 | 作成日時:2020年6月14日 11時