やさいせいかつー6ー (ページ1)

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玄師がこの店に真衣を連れてきた理由が分かった気がした。

「・・・そりゃ、無理してもやりたくなりますよね。
シオリさんたちのお店ですもん」

「あとは・・・実はこれが初めてだったんだ。
俺が独立してから事務所時代のコネやツテなしに取ってきた仕事って。
やるべきだと思ったし、やりたかった」

フリー、自由。

その言葉の意味も、本当の重さも、真衣は理解しきれていない。

ただ、玄師は真衣に感じてもらいたかったのかもしれない。

何をやったのか、雰囲気だけでも察してもらいたかったのだと思う。

「米津さんの申し開き、しかと受け取りました」

「ありがとう」

「米津さんって、意外と綺麗なモノ作るんですね」

玄師は、これにはやや心外そうだ。

「ーー意外は余計だよ」

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お次の魚料理は、白身魚と茸の香草焼き。

メインの肉料理は、無花果のソースがかかった牛肉のステーキだ。

「お肉の・・・お肉の味がする・・・。
ソースもめちゃ美味しい・・・ああ、お肉・・・肉」

ここまでくると、感激の内容も非常にシンプルなものになってきて、喋る言葉が単純になってくる。

「そうだ真衣。
忘れないうちに渡しとく」

「なんですか？」

「ほら、誕生日プレゼント」

玄師がジャケットの内ポケットからプレゼントらしき物を取り出したから、真衣は一気に現代人に戻る。

ハガキくらいの大きさで、厚さは3センチ程度。

綺麗な包装紙に包まれ、金色のシールが貼ってあった。

「こ、こ、こ」

「こ？」

「こんなご飯奢ってもらって、その上プレゼントまでって・・・バチ当たりませんか私」

「大袈裟だな。
そんな大したもんじゃないから、素直に受け取って」

「いやー、ありがとうございます。
嬉しいです。
あの、ここで開けちゃっていいですか」

「どうぞご自由に」

真衣はナイフとフォークを皿に置くと、いそいそと玄師から包を受け取り、包装紙を開ける。

包み紙を破ってしまうのも悪い気がして、爪でセロテープを剥がす時が1番緊張した。

何かな。

このサイズってことは、アクセサリーとかじゃない感じ。

そこそこ重いから、ハンカチとかでもない・・・スマホよりは少し軽いかな。

あれやこれやと想像を巡らせながら包装紙を剥がし、白い内箱のフタを開ける。