【名探偵コナン】Hyper Ventilation【降谷零】

4.終わりは訪れない ページ5

あれから何日か経っただろうか。

尋問というよりはほぼ普通の取り調べで、痛めつけられるなり、拷問される覚悟は決めてはいたが、どうやら杞憂だったらしい。
殺されもしないどころか、何もされないこの現状は、正直私には首を傾げるものだった。

薄々と、気付いてはいたのである。バーボンとライがNOCである事は。

ライがNOCだと露呈する前も、何と無く勘では気付いていた。
人を殺すことには慣れてはいるが、それは決して純然たる悪意ではない。人に害をなすから始末する、という『必要悪』側の存在だと言うのは、何となく分かってはいたのだ。
…バーボンは、まあなんか胡散臭かったし。

与えられた小さな個室。独房のようものではあるが、1人で考え事をする事が出来るこの静けさは嫌いではなかった。
24時間体制で、防犯カメラがここを監視している事は知ってるが、それでもまあ、それも別に気にならない。

チャリ、と手錠の鎖が鳴る。
組織の首輪がなくなったと思ったら、今度はこれか。
小さくため息を漏らし、私はこれからどうなるのかと思案する。
先延ばされただけで、最終的には処理をされるのだろうか。それでいい。それで構わないのに。

ベッドの上で横になれば、途端部屋に通信が入った。

『起きているか、ミモザ』

……バーボンか。
むくりと上体を起こし、「起きてる」と返せば『今からそちらに部下が向かう。俺のところに連れて来させるから、少し話というか、聞きたい事がある』と言われた。

そのわずか数秒後に部下らしき男がやってきた。
成る程、日本の警察は優秀らしい。

(聞きたい事、か。もう大抵のことは話したし、私なんかよりも引き出せる情報は、他の幹部の方が持ってるだろうに)

私の方が聞きたい事があるのに。
どうして私に手を差し伸べてくれたの、なんて。

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