11.悪夢 ページ12
NOCだとは気付いていた。
気付いていたからこそ、誰にもなにも言わなかった。
言ってしまえば殺されてしまうのはわかっていた。彼らにとっては倒すべき組織であっても、私にとっては仲間の1人には変わりなかった。
私を終わらせてくれる存在が欲しかった。
……それに、ただ生きていて欲しかった。
私は最後まで冷酷になれなくて、あの人が追い詰められて死んでしまうその日を迎えてしまった時は、泣いたのだ。
慕っていた。まるで兄の様に。
あの人が死んだあの場所で泣いた。
ああどうして、組織が終わったのに、私は終われないのだろう。
「っ、は、……ッ、ふ」
……案の定、夢を見た。
よりによって私にとっては最悪で、出来る事なら極力封印したかった出来事を。
ドクドクと心臓の動悸が速くなる。呼吸も自然と荒くなり、また過呼吸になった。
2回目の過呼吸はトラウマがトラウマなだけに、最初のものとは違って上手く制御出来ない。頭の中がくしゃくしゃで、開きっぱなしの口からは涎が垂れてしまう。
拭う余裕なんかなかった。苦しい、苦しい。
こんなに苦しいのに、悲しいのに、どうして私は終われない。
「はあーッ、はぁッ」
ばたん、と部屋の扉が開いたと思ったら、滲んだ視界の前に立つ人物がいた。
……降谷零だろうか。私の前にかがんで、背中をさすってくる。落ち着け、落ち着けと何度も言ってきて、シーツを握りしめていた手の上から手を重ねられた。
久しぶりの人の体温に、何だか安心してしまって、煩いほど刻んでいた心臓の鼓動も、荒々しい呼吸も、体感時間的には10分ほどで徐々に落ち着いてきた。
それを確認したら、今度は抱え込まれて、部屋の外へと連れていかれる。
…どこに連れていかれるのかは分からないが、頭は朦朧として働かない。
……そういえば前にも似た様なことがあったなとぼんやり思う。
不覚にも縋る様に、降谷零のスーツを握りしめた。もう何でも良かった。あの夢を見た後に、縋れるのなら何で良かった。
「……スコッチ、…ごめ、」
「………」
言い終わる前に意識がほぼ強制的に沈んでいくのを感じてそのまま、また眠ってしまう。
掠れた声でも、降谷零はしっかりと私のその声を聞いていた。
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Waaa(プロフ) - 更新楽しみにしています! (2020年9月22日 15時) (レス) id: 0c5dddad0a (このIDを非表示/違反報告)
アップルパイ♪(プロフ) - 恋愛落ちでお願いします!更新楽しみにしています! (2018年5月2日 7時) (レス) id: 12d5eb2c7d (このIDを非表示/違反報告)
青神みな(プロフ) - 恋愛落ちでお願いします! (2018年4月16日 22時) (レス) id: 808dd926ba (このIDを非表示/違反報告)
あかね(プロフ) - ぜひ恋愛落ちで…お願いします!!!!! (2018年3月15日 2時) (レス) id: 6d3d870dfd (このIDを非表示/違反報告)
ひゆめ(プロフ) - 恋愛落ちがいいです!降谷さん大好き///// (2018年3月14日 21時) (レス) id: d9d137c800 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遥 | 作成日時:2018年2月16日 19時