90話 ページ10
・降谷視点
『
結局あれからはほとんど眠ることもできず、ぼんやりとしたまま朝を迎えることになった。
何となく気まずい思いで翌朝登庁すれば、すぐ近くで赤井が電話をしているAを見守る光景が目に入った。
英語で話しているところを見ると、もしかしてFBI関係の人間だろうか。
話し終えたようで電話を赤井に返したところを見ると、どうやら赤井のを借りていたらしい。
「電話ありがとうございます、秀一さん」
「それだけ話せるなら心配はいらなさそうだ。ジェイムズは日本語も話せるからそう畏まらなくてもいいだろうに」
「2年はお世話になる方ですし、最初からそんな気を遣わせたく無いんですよ」
……ジェイムズって確か、赤井の上司の。
挨拶でもしていたんだろうか、あの反応を見るに。
……嫌でも2ヶ月後にはあいつはここを発つという実感が益々出てきて、その光景を見ていられなくて早足でその場を去る。
殆ど寝てないせいなのもあってか、どんどんイライラしてきて、部下に顔を出す前にこれでは変に公安の空気を悪くしてしまうかもしれない。
少しいったところにある休憩室に寄り、缶コーヒーを買う。
(……無意識にいつもAが飲んでるコーヒー、買ってしまった)
眠気覚ましにいつもAがバカみたいにコーヒーを飲んでて、よく緑川に怒られている光景を思い出し、ふ、と口元が緩んだ。
…それも2年は見れないのか、と思うとやっぱり寂しくなる。
いざ開けて飲んでみたら、予想以上に苦い。
あいつこんなのを何杯も飲んでたのか…。そりゃあ怒られるのも頷ける。
勢いよく全部飲み干して、乱雑にゴミ箱へと投げ捨てる。
眠気は覚めた。これから仕事だ。
やる事もある。やりたい事もある。というかやりたい事は今決めた。
半ば無理矢理強引な手段だが、部下には適当に言いくるめれば何とかなる。後は緑川や風見に任せることにしよう。
それに俺とAが一緒ならすぐに片がつく。悪くはない方法のはずなのだ。
勢いよくオフィスのドアを開いて、部下に挨拶されたり挨拶を返しながら、俺は真っ先に緑川の元へと向かう。
「おはよう緑川。ちょっと例の件について変更したい事がある」
「……おお?」
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るか(プロフ) - 続編と番外編が気になりすぎてて夜も寝れないくらい気になってます!!パスワードを教えていただきたいのですが可能でしょうか、? (5月7日 4時) (レス) id: 50222dda5e (このIDを非表示/違反報告)
ちゅん(プロフ) - 続編と番外編が読みたいのですが、パスワードって教えていただけないのでしょうか? (2022年4月22日 15時) (レス) id: 1fdd2ab3eb (このIDを非表示/違反報告)
あいる - 初めまして!!こんな神作初めて出会いました。ほんとにほんとに素敵です。お気に入り作者にしてしまいました。パスワードのヒントと作品にてオススメという形で載せたいのですがダメでしょうか?? (2020年11月14日 23時) (レス) id: 23cef4f251 (このIDを非表示/違反報告)
眠猫 - 番外編のパスワード載ってないので教えてくれないでしょうか?作者作品一覧に載ってるのは違う番外編のパスワードのようなので……… (2019年1月28日 18時) (レス) id: b6571f87b9 (このIDを非表示/違反報告)
神無月(プロフ) - 作者の作品一覧の所にパスワードというか、ヒントが載ってますよ (2018年4月22日 19時) (レス) id: 7b5ab892e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遥 | 作成日時:2017年12月16日 21時