119話 ページ41
・降谷視点
離陸したアメリカ行きの、Aが乗った飛行機を見送る。
返事を、返してもらった。
私もずっと好きだったと、そう言ってくれたのだ。
たったガラス一枚隔たれただけなのに、抱きしめる事も、何も出来ないのが心底もどかしかった。
未練は、正直ある。未練が出来るから、Aが何も言わなかったと言っていたのも、よくわかる。
けれど今言うしかないと思った。未練はあるが、言えてスッキリもしたし、──俺と同じ想いを、返してもらえた。
それと同時に、目標も出来たのだ。
「──2年か。10年間、追い越せなかったあいつの隣にやっと立てたくらいだから、不安はあるが、
2年の間に、俺はあいつを守れるくらい、強くなれるかな」
「なれるんじゃねーの」
タバコを吸いながら、飛行機が向かった方向を見つめ続けている松田は、俺の決意の独り言に返事を返した。
「俺には出来ないことを、お前は出来るんだ。隣に並び立てたならあと一歩だろ。
……守ってやってくれよな。正直俺もまだ未練まみれだけどよ、お前らのことこれでも応援してたんだ」
「…そうか」
「ま。Aがお前に愛想尽きる時は俺がA貰ってやるから安心してくれ」
「いや、何も安心出来ないんだが」
「お前らー何やってんだ、折角揃って休みだし、これから飲みに行こうって話になってるけど行くだろ？」
「斎藤も神崎ちゃんもどう？でもまだ学校か」
「後から合流でなら俺は構わないぞ。…神崎はどうする？」
「わ、私も行きます！色々ご教示頂きたいですし、なにより、その…」
チラリと俺を見る神崎さんは、少し躊躇うようにもじもじとしているが、突然頭を下げてきた。
「降谷さん、あの、私に教えてください。私の知らない遠山Aさんの話を、たくさん聞きたいし、知りたいんです」
深々と頭を下げたまま言うから上げてくれと言えば、不安そうに見上げる瞳とかち合う。
……あいつが残したものは、あまりにも多い。俺たち同期にも、そして、この子のように後の世代にだって。
「……もちろん。俺が言えることであれば」
あいつの手を、本当に掴める日は約2年後。
それまでに俺はあいつを守れるほどに強くなれるだろうか。
なりたいな。いや、なってみせるさ。
遠く離れた国であっても、それぞれの守るべき場所を守る為に、きっとあいつだって強くなって帰ってくるのだろう。
なら、強くなりたいじゃないか。
国だけではなく、好きな女1人守れるくらいの、まっすぐな強さを。
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るか(プロフ) - 続編と番外編が気になりすぎてて夜も寝れないくらい気になってます！！パスワードを教えていただきたいのですが可能でしょうか、？ (5月7日 4時) (
レス) id: 50222dda5e (このIDを非表示/違反報告)
ちゅん(プロフ) - 続編と番外編が読みたいのですが、パスワードって教えていただけないのでしょうか？ (2022年4月22日 15時) (レス) id: 1fdd2ab3eb (このIDを非表示/違反報告)
あいる - 初めまして!!こんな神作初めて出会いました。ほんとにほんとに素敵です。お気に入り作者にしてしまいました。パスワードのヒントと作品にてオススメという形で載せたいのですがダメでしょうか？？ (2020年11月14日 23時) (レス) id: 23cef4f251 (このIDを非表示/違反報告)
眠猫 - 番外編のパスワード載ってないので教えてくれないでしょうか？作者作品一覧に載ってるのは違う番外編のパスワードのようなので……… (2019年1月28日 18時) (レス) id: b6571f87b9 (このIDを非表示/違反報告)
神無月(プロフ) - 作者の作品一覧の所にパスワードというか、ヒントが載ってますよ (2018年4月22日 19時) (レス) id: 7b5ab892e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遥
| 作成日時：2017年12月16日 21時
