83話 ページ3
・降谷視点
これからAにどうするべきか、なんて悠長な事を考えている矢先に、こんな事になるなんて思いもしなかった。
確かにAは優秀だ。キャリアアップの意味を含めてでも、FBIに行かせる価値はある。
けれどまさか、このタイミングでなんて。
「零、落ち着いたか？」
側にいた緑川が顔を覗き込んできて、すまない、と謝った。
先程は思わず取り乱してしまった。赤井が別に悪いというわけじゃないのはわかっているのに。……妙に意味深な発言をして俺を煽るのもどうかとは思うが。
「……しかし、まさかこんな事になるたあな」
「……ああ」
自覚した矢先にこれなのだ。最早一種の呪いではなかろうか。
自覚して、近付いて、漸く追いつけそうだと思った矢先にこれだ。どうして、こんな事になったのか。
……時期が悪かったのだろう。色んなことの重なり合いで、多分こうなったんだ。
「……しんど」
「…流石にそれはしんどそうだわ」
けどモタモタしてたお前も悪い。と軽く肘で小突かれた。
……正論すぎて返す言葉もない。
モタモタしていたからこうなったんだ。確かに。自覚するのも、歩み寄るのも、何もかもが遅かった。こんな事になって、しまうだなんて。
「2ヶ月後か」
「すぐだな」
「……その間に告白出来るか？」
「……仕事もあるし、それにあいつにとっては最後の任務もあるから、今の調子だと無理そうだな」
「だよなぁ…」
近付いたらまた離れる。難易度が高すぎる恋だ。
……いや、今まであいつを傷つけてきたツケが回ってきてるのかもしれない。自業自得なのだと、だれかが嘲笑っているのかもしれない。
「アメリカ、か……」
遠いな。なんて呟きは、自分でも思うくらい覇気が無くて。
こんな姿、情けなさすぎて部下には見せられない。……Aにだって。
「2年後のA、どうなってるんだろうな」
「……分かるか」
「俺もわかんねえよ。……けど強くなって帰ってくるんだろうぜ。なあ、零」
そうやってウジウジするよりも、お前はもっと他にできる事、あるだろ。
緑川にそう言われて、俯いていた顔を上げる。
ニッ、と太陽のように笑うこいつは、子供の頃から変わりない明るいやつで、俺の助けに、いつもなってくれていた。
「……そうだな」
受け止められてはいない。
けれど、他にもやるべきこともある。考えることもある。
2ヶ月間。何かやれるはずだろう。なあ、降谷零。
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ちゅん(プロフ) - 続編と番外編が読みたいのですが、パスワードって教えていただけないのでしょうか？ (2022年4月22日 15時) (
レス) id: 1fdd2ab3eb (このIDを非表示/違反報告)
あいる - 初めまして!!こんな神作初めて出会いました。ほんとにほんとに素敵です。お気に入り作者にしてしまいました。パスワードのヒントと作品にてオススメという形で載せたいのですがダメでしょうか？？ (2020年11月14日 23時) (レス) id: 23cef4f251 (このIDを非表示/違反報告)
眠猫 - 番外編のパスワード載ってないので教えてくれないでしょうか？作者作品一覧に載ってるのは違う番外編のパスワードのようなので……… (2019年1月28日 18時) (レス) id: b6571f87b9 (このIDを非表示/違反報告)
神無月(プロフ) - 作者の作品一覧の所にパスワードというか、ヒントが載ってますよ (2018年4月22日 19時) (レス) id: 7b5ab892e2 (このIDを非表示/違反報告)
夢雪 - 番外編を読みたいのですが、パスワードがわかりません。どうすれば？…… (2018年4月21日 21時) (レス) id: a2e26e90a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遥
| 作成日時：2017年12月16日 21時
