93話 ページ14
ドレスコード推奨と言えども、私はあまり派手なものは好まないのでいつも自分で用意をしていた。
派手すぎると動きづらいし、有事の際にいざという時動けなかったら困る。
基本的にはシンプルなものを自分で用意しては着ていた。
「もうちょっと派手でもいいんじゃないか」
………潜入捜査を明日に控えたこの日、何故かこの場にいる秀一さんをジト目で見る。
自分で用意したドレスを見た秀一さんの第一声といえばそれだった。失礼な人だな。
「派手だと動きづらいので余り好ましくないんです。いざという時に動けなくて何のための潜入捜査なんですか」
「それはそうだが、せっかく美人なんだからもう少し着飾ってもいいんじゃないか?こういう時くらいしか、お前ドレスなんか着ないだろう」
「……せめて着て見せてから決めてくれません?一応今からサイズとか改めて確認する為に着るつもりだったので」
ああ頼む。という秀一さんの声を聞いて、隣の部屋で着替え始める。
脱ぎやすいのも特徴だし、これくらいのが丁度いいと思うのに。
……女っ気がないのは今に始まったことじゃないから、流して欲しいのにな。
着替え終わって、秀一さんのところへと戻ってきてみれば「…ホォー」と少し間を置いて、秀一さんは感嘆したように声を漏らした。
「なかなか悪くないものだな」
「でしょう?アメリカの女性は派手な方が多いから、秀一さんは目が肥えてるんですよ。こういうシンプルなのだっていいでしょう」
ふふん、と私にしては珍しく得意げになる。
多少は褒められたら私だって嬉しくなるものだ。いつも私をいじり倒してくる秀一さん相手だと、特に。
秀一さんはというと、じろじろと睨め付けるように私の格好をじっと見ながら時折「ふむ」と言ったりする。
「しかし露出が割とあるんじゃないか?」
「まあこれくらいなら別に…胸元が丸見えなのよりはずっといいでしょう」
「……まあそうだな。流石に視界の毒になるだろう、降谷くんの。」
……何故そこで降谷が出てくるのかは分からないが、気にするなと適当にあしらわれた。
「当日は俺も援護で参加することになった。現場の方ではお前も頑張れよ」
「成る程、よろしくお願いします」
ドレス自体はやはり堅苦しいので、もう着替える事にした。
サイズ自体に問題はない。後は明日を待つのみだ。
隣の部屋へと行った私を見た後、秀一さんはニヒルに笑う。
「……降谷くんが惚れ直しそうだ」
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ちゅん(プロフ) - 続編と番外編が読みたいのですが、パスワードって教えていただけないのでしょうか? (2022年4月22日 15時) (レス) id: 1fdd2ab3eb (このIDを非表示/違反報告)
あいる - 初めまして!!こんな神作初めて出会いました。ほんとにほんとに素敵です。お気に入り作者にしてしまいました。パスワードのヒントと作品にてオススメという形で載せたいのですがダメでしょうか?? (2020年11月14日 23時) (レス) id: 23cef4f251 (このIDを非表示/違反報告)
眠猫 - 番外編のパスワード載ってないので教えてくれないでしょうか?作者作品一覧に載ってるのは違う番外編のパスワードのようなので……… (2019年1月28日 18時) (レス) id: b6571f87b9 (このIDを非表示/違反報告)
神無月(プロフ) - 作者の作品一覧の所にパスワードというか、ヒントが載ってますよ (2018年4月22日 19時) (レス) id: 7b5ab892e2 (このIDを非表示/違反報告)
夢雪 - 番外編を読みたいのですが、パスワードがわかりません。どうすれば?…… (2018年4月21日 21時) (レス) id: a2e26e90a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遥 | 作成日時:2017年12月16日 21時