公安共のサンタクロース【番外編】 ページ12
・降谷視点
クリスマスだからと言って、俺たち公安は休みではない。
というかもう何日間も俺を含め部下達は公安に缶詰であり、「クリスマスなのに何やってんだろう」という呟きをした1人の部下の発言により、公安の空気が少し沈む。
時計の針は24時をとうに過ぎた頃、オフィスの扉が開き、誰か来たのかと視線だけ見やれば、今度は顔ごとその視線先の相手を見る事になった。
「全員あまりにも死んだ顔してるので、買い出し行って来ましたよ。あ、あとメリークリスマス。」
少し重そうなレジ袋をいくつか手に持つAが、何故かサンタ帽だけ被って戻って来たみたいだった。
服は普通のスーツのままだが、何故かサンタ帽は被っている。
俺含め全員呆気に取られていると、Aといえば「とりあえずおにぎりとかコーヒーとか買って来たんですけど」と袋の中からガサゴソと買い出して来たらしいものを出している。
「あとこれ。これは私の奢りです。」
コンビニスイーツで申し訳ないですが。と付け加えてAが次に出したものはケーキだった。
とは言ってもコンビニスイーツだが、それを見た部下達の喜びようが凄まじい。「配って回るんで好きなの選んでください。あと座って。」と苦笑を浮かべる。
次々に部下達に配りながら励ましの言葉を言う辺り、あいつは本当に出来た女だなと思う。
あらかた配り終えて、今度は俺のところへとAはやって来た。
「メリークリスマス降谷。書類もいいけど、一旦休憩しなよ。好きなの選んで。」
「……ああ、ありがとう」
コーヒーと、好きなおにぎりとケーキを選ぶ。
……Aを見上げて、ずっと気になっていたことを思いっきり聞いてみることにした。
「……そのサンタ帽は?」
「ああ、これ?ここに戻る前に秀一さんと会ってね。どうも妹さんから被せられて貰ったものらしいんだけど、俺じゃ使い道がないからって私に被せられた」
「(赤井グッジョブ)」
普段はいけ好かない男ではあるが、今回ばかりはいい仕事をしたと素直に思う。
俺のみならず、公安の部下含め全員の心が1つになった瞬間でもあった。
「写真撮らせてほしい」
「相当疲れてるね降谷。別にいいけど」
お互い連日の疲れにより、普段なら絶対に口にしないことを口走るが、最早それどころではなかった。素直に可愛い。赤井グッジョブ(2回目)。
ちなみにそれから数時間後、仮眠を取った後に正気に戻った俺たちが、「写真消して」「断る」と一悶着あるのはまだ知る由はない。
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ちゅん(プロフ) - 続編と番外編が読みたいのですが、パスワードって教えていただけないのでしょうか? (2022年4月22日 15時) (レス) id: 1fdd2ab3eb (このIDを非表示/違反報告)
あいる - 初めまして!!こんな神作初めて出会いました。ほんとにほんとに素敵です。お気に入り作者にしてしまいました。パスワードのヒントと作品にてオススメという形で載せたいのですがダメでしょうか?? (2020年11月14日 23時) (レス) id: 23cef4f251 (このIDを非表示/違反報告)
眠猫 - 番外編のパスワード載ってないので教えてくれないでしょうか?作者作品一覧に載ってるのは違う番外編のパスワードのようなので……… (2019年1月28日 18時) (レス) id: b6571f87b9 (このIDを非表示/違反報告)
神無月(プロフ) - 作者の作品一覧の所にパスワードというか、ヒントが載ってますよ (2018年4月22日 19時) (レス) id: 7b5ab892e2 (このIDを非表示/違反報告)
夢雪 - 番外編を読みたいのですが、パスワードがわかりません。どうすれば?…… (2018年4月21日 21時) (レス) id: a2e26e90a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遥 | 作成日時:2017年12月16日 21時