73話 ページ37
・降谷視点
「なんだお前ら、そんなお通夜みたいな空気出して」
Aが帰ってくるのを待ち続けていたら、途中で抜け出してきたらしい斎藤先生がやって来た。
ドカリと赤井の隣に座り、「あー」と気の抜けた声を出した。
「似た者同士だわ、あいつら」
「……あいつらって、Aと神崎って子?」
「そうそう。……この10年間、全部自分が悪いってことの一点張りだ。お互いにな。」
「…それは」
「どっちも悪くなんかねえのにな。……誰も責められやしないのに」
「…抜け出してよかったんですか」
「まあ大丈夫だろうさ。神崎はまだ子供だが、遠山はもう立派な大人だ。…お前らみたいな友達もいる。
……前よりはずっといい顔してるよ遠山。俺の勘だけど、やっと泣けたんじゃねえの」
……本当にこの人は、よく人を見ているというか、生徒思いというか。
「10年振りに泣きました。…あのAがです」
「だと思った。前は本当に何かに取り憑かれたような顔していたからな。少しばかり肩の荷が下りた顔してたから、もしかしてと思ったがな」
「けどまだ降谷の前でしか泣いてないんだぜ」
「予言だけど、この後遠山はお前らみんなの前で泣くと思うよ」
「斎藤の予言結構当たるからシャレにならねえよ」
「そんだけお前らのこと見てんだよ。お前らみたいな問題児を、今までどんだけ相手にして来たと思ってんだ。ほんとに立派になったな、お前ら」
昔よりは老けた、斎藤先生の笑顔に、警察学校の事を思い出す。
怒られたり指導されたり、時には慰められたり教えられたり。いつも俺たちのことを見守ってくれていたこの人は、今でも俺たちにとってはずっと立派な指導者だった。
「特に降谷、お前は特に頑張ってたな。何年も遠山の後追いかけて、ここまで来たんだろ。あとちょっとだ、頑張れよ」
「……それはどういう意味ですか」
「さて、何の話だかな」
斎藤先生に限らず、他の同期もニヤニヤしだす。赤井もニヒルな笑みを浮かべ、正直殴りたくなった。
……いや、もう知らないふりなんてしていられない。
俺が気づいていなかっただけで、もう10年も無意識に知らないふりをしていたんだ。
向き合わなければならない。A自身にも、俺自身の気持ちにも。
×××××××
結構図太い神経してなきゃ警察学校の先生とか続けられなさそうなイメージがある
斎藤先生のキャラは割とお気に入りです
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ちゅん(プロフ) - 番外編みたいです(;_;)パスワード知りたいです( ; ; ) (2021年3月7日 14時) (レス) id: 1fdd2ab3eb (このIDを非表示/違反報告)
闇月 - イラストが最高で思わず保存したいと思ってしまいました! (2019年9月25日 19時) (レス) id: ceaacc411b (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - なんかもう理想すぎるストーリーが見つかってまだまだこれから頑張れる。ありがとうございます。これからも頑張ってください。 (2018年4月28日 12時) (レス) id: 6434e4011a (このIDを非表示/違反報告)
まさき(プロフ) - 蒼衣さん» こんにちは!いきなりごめんなさい…。用件は下の私のコメントと同じです。よかったら見てみてください! (2018年4月22日 22時) (レス) id: 8f71bf94c7 (このIDを非表示/違反報告)
まさき(プロフ) - 湊叶さん» こんにちは。突然すみません!パスワードなんですが、作者さんの作品一覧のページのコメントを見ると書いてありますよ!脇から失礼しました! (2018年4月22日 22時) (レス) id: 8f71bf94c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遥 | 作成日時:2017年10月23日 18時