Happy Halloween!【番外編】 ページ15
「Trick or Treat.」
本場のネイティヴな発音で秀一さんが私に手を差し出してくる。
…そういえば今日は10/31。世間一般的にはハロウィンと呼ばれる日だ。
公安に用があって立ち寄っていた秀一さんは、思い出してついでと言わんばかりに菓子を強請りに来たようだ。子供か。
「まあ何となく来そうな気がしたので、これで良ければ」
「カップケーキか。しかも手作りだな」
「萩原達が毎年強請りに来るので作ってるんですよ。」
「チッ」
「今舌打ちしましたね?」
イタズラと称して虐めたかったのか、心底残念そうな上に舌打ちまでするこの人からそのカップケーキ返してもらいたい。
そして秀一さんと私のやり取りを見ていたのか、他の同僚達や緑川も「Trick or Treat.」と言いにくる。抜かりはないのでちゃんと職場の人の分は作ってはいる。
そしてお返しのお菓子までくれた。勿論秀一さんも。これ暫くは小腹が空いた時のお菓子に困らなさそうだな。
「降谷、Trick or Treat.」
秀一さんが居るせいなのか、此方に近寄りもしなかった降谷のところまで近寄れば、ちらりと私を一瞥して、何やら降谷は鞄の中からガサゴソと何かを取り出そうとしている。
「…ん」
何やら高級そうな袋を取り出して、中身を見れば、最近新しく開いた駅前のケーキ屋のチョコだった。
これ、結構並ばなきゃ買えない奴なのに。
「……いいのこれ」
「ん。…だからそれ寄越せ」
降谷は手に持っているカップケーキを指差して、私はチョコと交換した。
…手作りだったけど、良かっんだろうか。食べない可能性も考えてたけど、どうやら杞憂だったみたいだ。
「あ、美味しい。」
「……甘さ控えめだな」
「あんま甘いの好きじゃない人もいるでしょう」
甘さを抑えてるせいか、お気に召してもらえたようだ。
もぐもぐと食べる手を止めない降谷を見て、内心嬉しくなったのは、内緒の話だ。
食べながらそんな私達を見ていた緑川は満面の笑みで「青春だな!」と言っていたのは、降谷も私も終ぞ気付かなかった。
「A〜!Trick or Treat!」
「Trick or Treat. 今年は何だ?」
「やっほー、萩原と松田。今年はカップケーキだよ」
「去年俺らがリクエストしたやつじゃん。覚えててくれたのか」
「そりゃあね」
Happy Halloween!
×××××××
実はお返しに死ぬほど悩んでいた降谷さん
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ちゅん(プロフ) - 番外編みたいです(;_;)パスワード知りたいです( ; ; ) (2021年3月7日 14時) (レス) id: 1fdd2ab3eb (このIDを非表示/違反報告)
闇月 - イラストが最高で思わず保存したいと思ってしまいました! (2019年9月25日 19時) (レス) id: ceaacc411b (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - なんかもう理想すぎるストーリーが見つかってまだまだこれから頑張れる。ありがとうございます。これからも頑張ってください。 (2018年4月28日 12時) (レス) id: 6434e4011a (このIDを非表示/違反報告)
まさき(プロフ) - 蒼衣さん» こんにちは!いきなりごめんなさい…。用件は下の私のコメントと同じです。よかったら見てみてください! (2018年4月22日 22時) (レス) id: 8f71bf94c7 (このIDを非表示/違反報告)
まさき(プロフ) - 湊叶さん» こんにちは。突然すみません!パスワードなんですが、作者さんの作品一覧のページのコメントを見ると書いてありますよ!脇から失礼しました! (2018年4月22日 22時) (レス) id: 8f71bf94c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遥 | 作成日時:2017年10月23日 18時