66話 ページ30
・緑川視点
直撃すれば明らかに入院コースの手合わせ。否、どう考えても手合わせとは言い難い、戦いそのものだった。
警察学校時代は封印していたジークンドーを惜しげもなくAは使い、降谷は降谷でボクシングや合気で応戦している。
容赦無く顔面めがけた降谷の拳がAの目前に迫った時、Aは下に屈み、跳ねるように今度は降谷の顔面目掛けて拳を放つ。
それを受け流した一瞬の隙に、Aは右足の蹴りを入れようとするが、それも受け止められた。
形勢を整えようとAは即座に、拳も足も引っ込めて後ろに飛び跳ねる。
そして一呼吸置いた後、また降谷へと飛び掛った。
受け流す。
受け止める。
蹴る。
殴る。
放つ。
掠める。
跳ぶ。
飛ぶ。
目では追えても、正直何が起こってるのか理解はできてない。
……俺らは目で追えている分まだ良いが、生徒たちからしたら、目で追えてすらいないのが大半だろう。
再度、Aの顔面目掛けて放たれた拳は、今度はAは顔と身体を反らせることで回避をとった。
だが、回避を取るだけではなく、反らせた身体から放たれた同じく顔面目掛けての蹴りは、降谷の腕で弾かれる。
チッ、と何方がしたのかもわからない舌打ちが聞こえた後、バク転とともにAは後ろに飛び、再度距離を取る。
刹那。
爆発的な跳躍力。
その爆発的な跳躍力とは裏腹に、飛び跳ねた畳からは殆ど音がしなかった。
俺の隣にいた赤井と斎藤は「ほう」と感嘆の声を漏らす。
流石にこれは零にも不意打ちになるかもしれないと思ったが、間一髪で回避を取れたらしい。と言っても、本当に間一髪だが。流石の零にも焦りの色が見えた。
あれを避けれるとか流石にもほどがある。
相変わらず女離れをしているというか、あんなのでは昔からではあるが俺たちでは勝てない。
Aに勝てるのなんて、それこそ赤井か、今戦ってる零位だろうに。
(意地と意地の、戦いみたいだ)
お互いに負けられない。そんな気持ちがひしひしと伝わってくる。
互いの信念のために。互いの願いの為に。互いのプライドの為に。
……互いの、守るものの為に。
(止まっていいんだよ、A。)
もう。いいんだ。
ケリのつかない手合わせの中、今度は零から飛びかかろうとした瞬間、劈く様な制止の声が、この場に響いた。
「ーーーーーそこまで!」
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ちゅん(プロフ) - 番外編みたいです(;_;)パスワード知りたいです( ; ; ) (2021年3月7日 14時) (レス) id: 1fdd2ab3eb (このIDを非表示/違反報告)
闇月 - イラストが最高で思わず保存したいと思ってしまいました! (2019年9月25日 19時) (レス) id: ceaacc411b (このIDを非表示/違反報告)
莉子(プロフ) - なんかもう理想すぎるストーリーが見つかってまだまだこれから頑張れる。ありがとうございます。これからも頑張ってください。 (2018年4月28日 12時) (レス) id: 6434e4011a (このIDを非表示/違反報告)
まさき(プロフ) - 蒼衣さん» こんにちは!いきなりごめんなさい…。用件は下の私のコメントと同じです。よかったら見てみてください! (2018年4月22日 22時) (レス) id: 8f71bf94c7 (このIDを非表示/違反報告)
まさき(プロフ) - 湊叶さん» こんにちは。突然すみません!パスワードなんですが、作者さんの作品一覧のページのコメントを見ると書いてありますよ!脇から失礼しました! (2018年4月22日 22時) (レス) id: 8f71bf94c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遥 | 作成日時:2017年10月23日 18時