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・太宰視点
一通り写真を撮り終えた頃には、芥川君にまるでコアラの様にAはしがみついており、気分が上がり過ぎてやり過ぎてしまったと反省した。
見た所、大体恐らく十位の少年にまで退行しているらしい。身体に引っ張られるように記憶まで退行してる様子だから、私の事は覚えていないのだろう。
其れに少しばかりの寂しさを覚えつつも、「A、」と名前を呼んだ。
恐る恐るといった様子で振り向くAの顔は確かに、Aを其の儘小さくした顔そのもので、不謹慎ではあるが、Aの子供時代を垣間見れた事が少し嬉しく思う。
「御免ね。怖がらせてしまって。君とは初めまして、私の名前は太宰治」
「………」
「…怖がらずとも善い。先程云った頼りになる人とはこの人の事だ」
私の知らない間に二人は仲良くなっていたらしい。
というか、此処ずっとAとは会っていなかった筈の芥川君がAの家に居る時点で、二人に何かしらあったのは火を見るより明らかだ。
芥川君の言葉を聞いて少し警戒を解いてくれた様で、握手を求めて私は手を差し出す。
おずおずと、小さな手が差し出されて、私はその小さな手を握った。
「芥川君が来た頃には既にこの姿だったのかい?」
「その様です。姿が退行するといえば、マフィアでも一昨日、原因不明で構成員の何人かが若返った案件がありました」
「無関係じゃあ無さそうだね。後で調べておいて呉れ給え。私も私でその筋に聞いてみるよ」
「承知」
……私と握手しても何も変わらないという事は、此れは異能の類ではないのだろう。
異能無効化をする異能の私が触れば、どんな異能も忽ち解除されるが、その兆しが全く見られない。
やれやれ、この子は本当に、少し目を離すと此れだものね。
「あ、あの、」
「うん?」
「……おにいさん、何でおれの名前を知ってるの?」
尤もな疑問だ。
自分からしたら知らない人間が、自分の名前を知って居るのは確かに怖いだろう。
却説如何したものかと悩むが、変に包み隠しても、この子は森さん曰く、子供の頃から賢かった様だから余り隠さないのが得策だ。
「うふふ、私はね、君の未来のお友達だもの」
だから君のことは知っているよ。
昔から君が優しかった事も、兄として苦しんだり傷付いた事も。
首を傾げる幼いAに、可愛いなぁ、ともう一度写真を撮りたくなった。
××××××
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遥@携帯の調子悪くて返信遅れます(プロフ) - コメント一括にて失礼します。最近携帯の調子悪いので…皆様お待たせしました。次の話でとりあえずは彼の話は一旦終わりとなります。最後まで書き切りますので、それまで見てくださると嬉しいです。 (2019年10月13日 20時) (レス) id: 5776c56060 (このIDを非表示/違反報告)
至恩(プロフ) - お久しぶりです!わーい更新だー!って通知見て思いました! (2019年10月13日 7時) (レス) id: 77907255a2 (このIDを非表示/違反報告)
月夜の死神(プロフ) - わわ…!更新待ってました!これからも頑張って下さい! (2019年10月13日 1時) (レス) id: eb1a5cc196 (このIDを非表示/違反報告)
或 - どストライクで大好きな作品です!応援してます!! (2019年9月27日 13時) (レス) id: 62feb543dd (このIDを非表示/違反報告)
フェルト - すごく大好きです!頑張ってください! (2019年9月26日 18時) (レス) id: 00cb91440a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:遥 | 作成日時:2019年2月15日 19時