ヨコハマのヤベー奴らと一般人くんの日常 弐【男主】

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「其れにしても、如何してそんな医者みたいな格好しているんです？」

「あー…実習行ってるからその格好。流石に学校に行く時みたいな服装だとな」

ドス君にも突っ込まれるくらい、矢張り今の俺は医者に見えてしまうらしい。
未だ未だ小僧なのに、そう見えてしまうのは何故だろうか。……もう一寸そうじゃない様に見える格好にしないとだな。

「看護師が天職だと思っていましたが、医者でも様になっているんじゃないですか？」

「無理無理。其処まで頭良くなんかないよ。其れを云うならドス君こそなれるだろ。頭良いし」

「ぼくが医者だなんて御冗談を。嗚呼、でもそうですね。君の事だから心配は無いでしょうが、若し何処の病院にも採用されなくて、行く宛が無かったら、ぼくのところで雇いますよ」

「……ドス君の所ってやばい所だろ」

「ええ。勿論其方の世界に足を突っ込む事にはなりますが」

遠慮しておくよ、と勿論断る。
本気なんだか冗談なのかイマイチ分からない。けれど意外と眼力が鋭いドス君が云うと結構威圧感があると云うか、気圧される。
クリスティさんといい、ドス君といい、美人の不敵な顔は矢鱈と気圧されるのは何なんだろうか。

ジッと先程からドス君の視線が刺さる。
何なんだろうとちらりと見れば、ニコリとイケメンスマイルで返されて思わず目を逸らした。
うーん、矢張り顔面偏差値名門校過ぎる。頭も良くてイケメンとか隙が無いなオイ！

「……先刻から何？」

「いえ、白衣を見てると少し思い浮かぶ人物がいたもので」

「ふーん…？」

幾分か冷ました珈琲を口に運ぶ。
レポートやっている俺の事を何でかドス君は待っていてくれているのだが、其れにしても視線が気になる。
然し何度云っても此れなので、もう無心でレポートを進めるしか無いのだろう。



(………気の所為ですかね)


本当に一瞬。ほんの一瞬。

この横浜の闇と夜を支配する彼の男の姿が見えた気がした。思わず手を伸ばして、Aの髪に指を絡ませる。間違い無く、目の前にいるのはAだ。
言外に「何？」と云った視線は笑顔で黙殺しておく。

筆を進めながら徐々に仕上がって行くレポートを横目に見れば、レポートの内容は完成度が高い。優秀なんだな、と改めて思う。

冗談では無いんですよ。
若し見る目のなかった人間ばかりで、君を採用しなかったとしたら、その時は、ぼくが拾ってあげるというのは。


だって友達でしょう、ぼくたち。

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