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・太宰視点

「糞鯖、其れと芥川。Aから差し入れだ」

「……Aから…?」

私の執務室に乗り込んで来た中也が、何やら手提げを持ってやって来た。
甘い匂いと、其れとは別に良い匂いもする。嗚呼、この匂い。私の好きな匂いだ。Aの手料理の、匂い。

「ケェキ作ったけど処理に困っているから食って呉れってよ。後、軽いモンも別に作ってくれたみたいだから小休憩にでも食えや」

「……ケェキとは、本当にあの子女子力高いね」

大方、ストレスでも溜まってついつい作ってしまったと云ったところだろうか。Aは悩みやストレスを料理にぶつけるタイプだから。
包丁も中也は持参して来たようで、箱の中から取り出したケェキを器用に切り分けて呉れた。

「手前も食っとけよ芥川。Aの事だから甘さは多分控え目にしてあるんだろうぜ。ケェキが無理ならお握りとかも彼奴持たせて来たから其方でも良い」

「助かるねえ。…ほら、芥川君、何かしら食っておきなよ」

「……はい」

久しぶりに真面に食べるAの手料理は凄く美味しく感じた。
美味しいな。何れも此れも美味しい。中也に持たせてくる位、あの子もあの子で私達の事を心配しているのだと思うと、少し嬉しくなった。
病院で未だ眠っているであろう、織田作にも持って行ってあげよう。

「あのサンピンにも出来れば食わせとけって云ってたぞ。」

「後から行こうと思っていたから丁度良いよ。……中也、凄い勢いで食べてるけど、ちゃんと残しておいてね?」

「分かってるっつの」

最近はミミックの事もあってピリピリとしてしまっていたが、久しぶりのAの料理に自然と頬が緩んだ。
この件が落ち着いたら、Aの家に行こう。そして謝ろう。何時迄も気まずいのも厭だし、気軽にAに電話すら出来なくなるのは正直私は辛いし。

けれど不安要素は拭えなかった。
厭な予感すらした。其れを無視するように、今は目の前にあるAのご飯を食べ続ける。




後々に知る事になる。
私をAが見つけてしまった事で、一度は離れてしまった因果の糸が、再度また繋がっていた事を。





森さんは、今もずっとあの子の事を覚えている事を。




××××××

ゆるゆるライフの皮を被ったドシリアスが最近顔を出しつつありますが、黒の時代編がメッチャ重いだけです。

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(プロフ) - 勿論不快にさせた事実は変わりませんが、改めまして女狐呼びは後日修正させていただきます。公式からの呼び名がもし出たらその際はまた変えるかもしれないです。今回はお騒がせしてしまい申し訳ありませんでした。 (2019年7月28日 1時) (レス) id: 5776c56060 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ららさん» 妲己、というのもよく考えたら失礼かなと思ったので追記を。前記の通りキャラを貶す意図はなく、クリスティ爵の残酷な面が垣間見える彼女の言葉一つで街を焼ける、といった権力の強さに狐であった妲己のようだ、といった自分の解釈もあります。→ (2019年7月28日 1時) (レス) id: 5776c56060 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 呼び方の方は後日修正させていただきます。コメントありがとうございました。 (2019年7月27日 23時) (レス) id: 5776c56060 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 誤解を招くようですが、クリスティ爵はとても好きです。映画で動いて声もついたのは本当にとても嬉しかったです。映画のイメージで「こう言う感じの方かな」と言ったイメージが先走ってしまって申し訳ありません。それと夢主持ち上げ、というよりはその辺の→ (2019年7月27日 23時) (レス) id: 5776c56060 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ららさん» といった意味で女狐呼びをさせていました。軽率にしてしまい申し訳ありません。情報が少ない方なので、私なりの解釈等も混ざってしまい、呼び方等に不快な思いをさせてしまって申し訳ないです。決してキャラを貶すために使ったものではありませんでした。→ (2019年7月27日 23時) (レス) id: 5776c56060 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2018年11月13日 18時

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