ヨコハマのヤベー奴らと一般人くんの日常 弐【男主】

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・中也視点


「織田作とAが最近凄く仲が良いのだけれど」

「嗚呼、確かにな。最近仲良いよな」

例の如くサボっている太宰の執務室の長椅子にどっかりと座っていれば、だるだると猫の様に力無く執務室の机に頭を乗せた太宰が呟いた。
確かに太宰の云う通り、織田とAは最近仲が良い。お互い面倒見がいい者同士、波長でも合うのか最近は良く話をしていたり、飯を食ったりしているみたいだ。

「何か然もAは織田作に悩み的なの相談してるっぽいし？そして織田作に聞いても『教えられない』って云われた！何なの！Aは毎度思うけどコミュ力EXなの！？」

「まあ長男故のスキルなんだろ。手前を手懐ける奴だ。今更な話じゃねェのか？」

ぶー垂れている太宰の様子を見るに、あの二人が仲良くしているのが気に食わないと云うわけではないが、如何も複雑な気持ちの様だ。
真坂彼処まで仲良くなるとは思っても無かったのだろうし、俺も正直予想外ではある。

「中也こそ、Aと彼処まで如何やって仲良くなった訳？」

「あァ？…別に大した理由とかそんなもん、無いとは思うぜ。遊戯の趣味とかも合うのもあるかもしれねぇが」

スマブラやFF等、色んな遊戯(ゲーム)に彼奴は手を出している様で、俺も俺で未だ年頃ではあるから、そういった物には手を出すし、そう云う話題をAと話すと盛り上がる。

「…友達(ダチ)になりたい気持ちはあるが、其れは俺も俺で色々片付けてからだ。そうだな、幹部にでもなったら、その時は友達になろう位には云えるかもしれねェ」

「……幹部と友人ってのが逆に危なく無い？」

「あ？何云ってンだ。幹部になった分、色々融通が利くだろ。手前がAを隠蔽しまくって、大事に囲って隠すくらいの事、造作も無いだろうが」

逆にそれだけの力と権力を持つ太宰が、未だにAに踏み込めないのかが不思議でならない。
護ろうと思えば、此奴は全てからAを隠す事も可能な筈だ。首領の目を掻い潜っても。

「太宰、手前とAを隔てる壁を煩わしく思うのも怯えるのも俺ァ知らねえ。其れは手前が何とかする事だ。
だが何れは手前が決着を着けなきゃならねえ事だ。手前が納得する方法で、実現するこったな」

………その納得する方法は近い内に果たされることを俺は知らないし、知る筈も無い。
だが同時に其れは太宰がマフィアを去る事を意味していた。



織田が死に際に残した言葉で漸く、太宰はAに踏み込む事を決意する事になるのだから。

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