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「……貴女の付き添いの人間を呼びました。さっさと帰るなり、姿を消すなりして下さい」

「あら、気が利きますのね。私としてはもう少し渡瀬さんとお話ししたかったのですけれど」

クリスティさんを睨み付けるドス君に内心ヒヤヒヤする。何時ものドス君は一体何処へやらだ。
俺達の横を通り過ぎる時、クリスティさんは俺を一瞥して、「また逢いましょう」と一言呟いて人混みの中へ消えていった。

「………ど、ドス君?」

「…君って人は、本当に何で、こう…、……否、此れは僕に非がありますね。済みません」

「……結局、あの人なんだったんだ?」

「まあお偉いさんだとでも思ってて下さい。其れもかなり厄介な類の」

其れを受け止めろと云われても無理な話である。
お偉いさん何だろうとは思っていたが、ドス君が云う「厄介」の意味合いは多分俺達とは違う。
ヒェ…………俺そんなお方と一緒に居たの?な、何か粗相はしてなかっただろうか…アッ肩引いちゃったわ

「……痩せました?」

悶々と俺が考えている中、未だ俺の腕を握った儘のドス君はそう呟く。
そう問われた事により、ひゅく、と喉が変な音が鳴る。ドス君の方が痩せてるだろ、と云う軽口は叩けなかった。変に誤魔化しても、ドス君には通用しないから。

「何かあったんですか」

「まあ色々とね。あと単に、最近本当に忙しかったから」

「心配させるプロですか君は」

「いやあ其れほどでも(照)」

「褒めてませんよ」

ハァ、と溜息をつかれて、掴まれた腕はそのままに、つかつかとドス君は歩いていく。
引っ張られる形の俺はされるが儘だ。真坂こんな形で再会するとは思ってなかったけど、嗚呼、良かった。生きていた、なんて大袈裟だけどそう思った。
不意にドス君は立ち止まって、俺の方を振り向いたと思ったら、いつも被っているふわふわしたロシア帽を俺に被せた。

「以前の子供体温はどうしたんです。前よりも冷たいじゃないですか。それでも被って居なさい」

ぱちり、と目を瞬かせた。
妙なところで優しいドス君は相変わらずだと思わず笑みが漏れた。
子供体温じゃない、なんて言い返す気にはなれなかったし、ならなかった。





「あったかいもの食べたいよドス君」

「御希望は」

「キムチ鍋食べたい」

「僕の舌を殺す気ですか」

「ドス君味覚まで脆弱なの?」

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(プロフ) - 勿論不快にさせた事実は変わりませんが、改めまして女狐呼びは後日修正させていただきます。公式からの呼び名がもし出たらその際はまた変えるかもしれないです。今回はお騒がせしてしまい申し訳ありませんでした。 (2019年7月28日 1時) (レス) id: 5776c56060 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ららさん» 妲己、というのもよく考えたら失礼かなと思ったので追記を。前記の通りキャラを貶す意図はなく、クリスティ爵の残酷な面が垣間見える彼女の言葉一つで街を焼ける、といった権力の強さに狐であった妲己のようだ、といった自分の解釈もあります。→ (2019年7月28日 1時) (レス) id: 5776c56060 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 呼び方の方は後日修正させていただきます。コメントありがとうございました。 (2019年7月27日 23時) (レス) id: 5776c56060 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 誤解を招くようですが、クリスティ爵はとても好きです。映画で動いて声もついたのは本当にとても嬉しかったです。映画のイメージで「こう言う感じの方かな」と言ったイメージが先走ってしまって申し訳ありません。それと夢主持ち上げ、というよりはその辺の→ (2019年7月27日 23時) (レス) id: 5776c56060 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ららさん» といった意味で女狐呼びをさせていました。軽率にしてしまい申し訳ありません。情報が少ない方なので、私なりの解釈等も混ざってしまい、呼び方等に不快な思いをさせてしまって申し訳ないです。決してキャラを貶すために使ったものではありませんでした。→ (2019年7月27日 23時) (レス) id: 5776c56060 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2018年11月13日 18時

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