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『私、治君。今あなたの家の前にいるの』

「うおーい普通に云え普通に。メリーさん風に云うんじゃない。ビビリにそんな事するのやめなさい。ってかもう来てるんか〜い」

太宰から電話が掛かってきたので、出てみれば、冒頭の都市伝説メリーさん風に云うものだから切ってやろうかと思った。
電話を掛けた意味とは?と思う。既に来てるのならもう呼び鈴鳴らしてくれ。

扉を開ければ、A〜!と嬉しそうに笑う太宰が立っていた。
電話とかはしていたが、会うのは結構久し振りだ。電話越しには疲れ果てた声ばかり聴いていたから、元気そうで何よりだ。

「昨日何かあったみたいだけど、今日は大丈夫だったのかい」

「大丈夫大丈夫。昨日のは俺の不注意だったし」

「……何かあったら直ぐに云うのだよ。あ、そうだ。紹介するねA」

ひょこり、と扉で死角になっていて見えなかったところから1人の男性が顔を覗かせる。
然し、その人は、

「え、」

「あ、」

昨日俺が不発弾と遭遇して、直ぐに逃がしてくれていたあの赤毛の男の人だった。

「不発弾の人!!」

「……物騒な覚えられ方をしているな。と云うか、お前は昨日の…」

「えっ!?何!?何事!?私の知らないところで二人ともエンカウントしてたの!?」

呆気にとられている俺と、俺をじっと見据える赤毛の人。そんな俺と彼を交互に見て、困惑している太宰。

「何!?まーたAマフィアホイホイしてたの!?っていうか真坂!昨日云ってた危ない事って、織田作が見つけた不発弾の事じゃ無いだろうね!?」

「否、其れはこの少年が見つけた後に俺が来たんだ」

「そして逃がしてくれました」

「……A、悪い事云わないから君家から出ない方がいいよ」

「俺の人権は!?!?」

人権剥奪されるレベルで酷いのか俺は。
というか、今あっさりと太宰が漏らしていたが、もしかしてこの男の人も、

「………マフィア……?」

「太宰が云っていた通り、本当にマフィアホイホイなんだな。心配になるのも分かる」

うんうん、と納得した様に頷くこの男の人に太宰はどんな説明をしてたんだ。おい太宰、顔を逸らすな。こっちを見ろ。そして話せ。

初っ端から同情すらされた織田作こと、織田作之助さん─────この日が太宰の全ての分岐ともなり、全てを置いて、



俺と太宰に、呪いを残して逝ってしまった人との出逢いの日だった。


×××

評価、コメント、過去最高2位ありがとうございます。
いつのまにか殿堂入りまで…ひえ…

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(プロフ) - 勿論不快にさせた事実は変わりませんが、改めまして女狐呼びは後日修正させていただきます。公式からの呼び名がもし出たらその際はまた変えるかもしれないです。今回はお騒がせしてしまい申し訳ありませんでした。 (2019年7月28日 1時) (レス) id: 5776c56060 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ららさん» 妲己、というのもよく考えたら失礼かなと思ったので追記を。前記の通りキャラを貶す意図はなく、クリスティ爵の残酷な面が垣間見える彼女の言葉一つで街を焼ける、といった権力の強さに狐であった妲己のようだ、といった自分の解釈もあります。→ (2019年7月28日 1時) (レス) id: 5776c56060 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 呼び方の方は後日修正させていただきます。コメントありがとうございました。 (2019年7月27日 23時) (レス) id: 5776c56060 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 誤解を招くようですが、クリスティ爵はとても好きです。映画で動いて声もついたのは本当にとても嬉しかったです。映画のイメージで「こう言う感じの方かな」と言ったイメージが先走ってしまって申し訳ありません。それと夢主持ち上げ、というよりはその辺の→ (2019年7月27日 23時) (レス) id: 5776c56060 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ららさん» といった意味で女狐呼びをさせていました。軽率にしてしまい申し訳ありません。情報が少ない方なので、私なりの解釈等も混ざってしまい、呼び方等に不快な思いをさせてしまって申し訳ないです。決してキャラを貶すために使ったものではありませんでした。→ (2019年7月27日 23時) (レス) id: 5776c56060 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2018年11月13日 18時

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